新興宗教と聞くとカルトなどなんとなく「危険」「こわい」というイメージがある方が多いのではないでしょうか。
もともと新興宗教とカルト宗教にはちがいがあるのですが、新興宗教・カルト宗教どちらにも属するような団体も多いです。
怖い怖いと近づかないようにしていても…
実はとても身近にいるのが本当に怖いところです。
では、危険と呼ばれる団体はどんなものがあるのか。
見ていきましょう。
「危険」の基準について
カルト宗教のすべてが危険だというわけではありません。
それでも新興宗教のなかには、特に危険だと言われているカルト的な宗教がいくつか存在しています。
そもそも、危険なカルト宗教には定義があり、下記のセクト構成要件の10項目のうちひとつでも当てはまるものは危険と判断されています。
- 精神の不安定化
- 法外の金銭的要求
- 住み慣れた生活環境からの断絶
- 肉体的保全の損傷
- 子供の囲い込み
- 反社会的な説教
- 公序良俗の錯乱
- 裁判沙汰の多さ
- 従来の経済回路からの逸脱
- 公権力への浸透の試み
ただし、こちらは日本国における基準ではありません。
1995年のフランス国民議会にて採択されたものです。
1995年12月、フランス国民議会で採択された報告書『フランスにおけるセクト』は「通常の宗教か、セクト(カルト)か」を判定する国際的な指針の一つとされている。この報告書は、調査委員会の委員長の名前を取って『アラン・ジュスト報告書』ともよばれている。
この中で、セクトの本質を「新しい形の全体主義」と定義した上で、以下のように「セクト構成要件の10項目」を列挙している。
ウィキ:セクト
とはいえ、一国の議会で報告されたものですから、他国への影響も大きかったのです。
特に日本発である創価学会や天理教などもセクトのラインナップに入っていたので、反響は少なくありませんでした。
こちらの基準も参考に、信者数の規模や知名度(=どれだけ身近に存在しているか)もふまえてランキングをしていきます。
国政への進出や隣人や友人知人が実は信者だったなんて、私たちの日常へスルスルと入り込んでいるのが、目に見えない恐ろしさでしょう。
第1位:創価学会
セクト構成要件の10項目すべてに当てはまってしまっているのが、創価学会です。
かなりの知名度を誇りますから、知らない方はいないでしょう。
長らく自民党と連立政権を担っている公明党の支持母体であることは、かくも有名な話です。
創価学会の概要
公式サイトには創価学会の概要について以下のように記されています。
創価学会は、大乗仏教の真髄である日蓮大聖人(1222~1282)の仏法を信奉する団体です。
その目的は、仏法の実践を通して、一人一人が真の幸福境涯を確立するとともに、生命の尊厳を説く仏法哲理を根本に、恒久平和、豊かな文化、人間性あふれる教育の創造を推進し、人類社会の発展に寄与することにあります。
「生命の尊厳」に価値をおき、万人の幸福・世界平和を目指しています。
日本での会員数は450万人以上。
(公式サイトより)
→2022年11月現在、公式サイト内に会員数の公表を見つけることができませんでした。
日本の人口減少や宗教離れ、世代交代の失敗、勧誘規制の強化などから会員数は頭打ち、減少に転じているのではないかと推測できます。
ただし、創価学会は国際的に活動する団体です。
その布教地域は日本に留まりません。
海外には約280万人もの会員が存在すると公表されています。
すごい会員数ですよね。
日本発の新興宗教が欧州やアフリカなどにまで信者が存在するというのですから、おどろきとしか言えません。
過去には幾度となくセクト要項に引っかかってしまうような問題行動があった反面、宗教を通しての平和・文化・教育活動や人道支援も行っているための結果だと言えるでしょう。
創価学会はもともと「日蓮正宗」として団体に所属していました。
※この日蓮正宗は日蓮宗とは異なる宗教です。
しかし現在では、創価学会と日蓮正宗は別々の宗教として活動し、お互いを批判している形となっています。
>創価学会と日蓮宗と日蓮正宗の違いと関係|創価学会は仏教なのか
危険と言われている理由
- 他宗教への強い批判、誹謗中傷
- 根拠のない宣伝(弱者を中心とした勧誘)
- 他宗教信者への改宗強要や強引な勧誘
- 政治との深い関り
- 創価学会が運営する大学の8割が信者
あげきれないほどの危険な理由がでてきます。
最近ではあまり聞かない気もしますが、過去には強引な勧誘や社会的な事件が起きてしまったこともしばしば・・・
下流層から中流層の人間を対象に、「入信すれば幸せになれる、病気が治る」などと宣伝して、病気・貧困・争いで苦しむ人を中心に勧誘を行い信者を獲得してきました。
勧誘活動の中で、キリスト教会や仏教寺院に出向いて改宗を迫り、未成年や高齢者へも強引で暴力的な勧誘がたびたび行われたため、入信強要を苦にした自殺が頻発し社会問題に発展しました。
学会が運営している「創価大学」では8~9割の学生が信者だということもあり、社会にでる前の若者信者も大勢いるという現状があります。
2022年の安倍元総理の事件以降、統一教会/自民党ばかりがやり玉にあがりますが、なぜ公明党/創価学会がスルーされるのか?不思議でなりません。
個人的な話
これだけ広大な力を持つ創価学会ですから、私も会員の友人知人は数多くいます。
普通にご近所さんにも多数いますからね。
それだけ強大な布教を行ってきたという裏返しでもありますが…
個人的な感想で言えば「信者さん自体は普通に良い人な場合が多い」という感想です。
選挙になると若干名が来訪してきて「公明党をよろしく!」ということさえ目をつぶれば、なんら他の人とは変わらないなという印象です。
まぁ数年ぶりにアポ取ってきたらそれかい…ってことはありますけどね(笑)
第2位:エホバの証人
輸血禁止や体罰推奨など、耳を疑うような教義を持つのが「エホバの証人」です。
エホバの証人の概要
1870年代に誕生したこの宗教はキリスト教系統の新宗教です。
キリスト教系統ではあるものの・・・
キリストが神であることを否定し、団体名でもある唯一神エホバを崇高しています。
キリスト教が『聖書』を聖典としている一方で、エホバの証人は「新世界訳聖書」を聖典と定めています。
聖書と一口に言っても、その解釈に異なる箇所が多数あるので、同じものとみなすことはできません。
この新世界訳聖書は、聖書の内容を団体が改訂し、エホバの証人の見解に合うようにつくられたものです。
独特な雰囲気をもつエホバの証人ですが・・・
日本における信者数は、2016年の時点で21万人と公表されています。
2021年公表データでも同じく21万人とされております。
5年経過でまったく同じ会員数というのは、いささか不自然に見えますが、新規信者数と脱退者数などは公表されていないので、その実情はわかりません。
危険と言われている理由
- 制約が多い
- 輸血の禁止
- 体罰推奨
- 他宗教に排他的
政治活動などは行っていませんが、危険なカルト宗教の基準でみると多くの項目に当てはまっています。
とくに「輸血禁止」「体罰推奨」の教義に関しては日本でも大きな事件に発展したケースもあり、世間的にも批判の声があがりました。
また、「特定ジャンルのテレビ閲覧の禁止」や「ゲーム、近代音楽の禁止」など現代では信じられないほど禁止事項が多いです。
娯楽の時間が少ないということは「宗教と向き合っている時間がより多くなる」ということに繋がります。
教義に邪魔なものを排除し、信仰を深めるための目的があるのではないかと邪推してしまいますね。
第3位:幸福の科学
会員数は1,200万人以上と公式発表をしている大規模?宗教団体です。
※後述しますが、この数字には懐疑的な意見が多く出ています。
政治活動や芸能活動など幅広い分野で展開している、日本では有名な団体です。
幸福実現党は幸福の科学が支持母体です。
>幸福実現党の正体がやばい!?幸福の科学との関係は政教分離違反なのか
幸福の科学の概要
1986年に立宗され、エル・カンターレの化身である大川隆法(りゅうほう)氏が総裁としてトップに君臨しています。
地球の至高神であるエル・カンターレを崇拝した「エル・カンターレ信仰」を行っています。
驚くことに、このエル・カンターレは、キリストや孔子、ムハンマドなど名だたる預言者/宗教家を地上に派遣した「神々の主」だというのです。
※仏陀はキリストなどより上位でエルカンターレの分身。
※なぜか哲学者のソクラテスが入ってくるのがよくわからないですが…
要は他の宗教の信仰対象や開祖たちは、すべて配下なんだぞ、という主張なのでしょう。
しかし、世界の三大宗教すべては配下なんだぞ、という主張はあまりにも…
※各宗教の熱心な信徒や僧侶に教義を聞かせたらブン殴られそうです。
そして、大川隆法総裁こそがエル・カンターレの化身であり、生まれかわりだとされています。
「エル・カンターレ信仰=大川隆法総裁信仰」という教義なのです。
信仰の対象「エル・カンターレ」
エル・カンターレは、地球の至高神であり、イエス・キリスト、孔子、ソクラテス、ムハンマドなどを地上に遣わした「神々の主」です。今、エル・カンターレが、民族間・宗教間の対立や紛争を解決し、地球を一つにまとめる人類普遍の教えを説くために、大川隆法総裁として、日本に生まれています。
※↑に文章では書かれていませんが、仏陀はキリストやムハンマドより上位であり、エルカンターレの分身だそうです。下図参照。
とんでもない教義です。
既存の伝統宗教や過去の偉人たちを地上へつかわした、地球の絶対神が現代の日本人に転生したということです。
「転生したら日本人だった件~絶対神パワーで布教無双~」
なんて、何十番せんじの小説が書かれてしまいそうです。
注意ポイント
とはいえ、開祖が神の化身だった、お告げが聞こえる特別な存在などといったものは新興宗教ではありがちな設定ではあります。
開祖が神のお告げを聞く宗教団体、天理教
開祖が崇拝対象である大山ねずの命である宗教団体、大山ねずの命神示教会
主な教え
- 霊的人生観
- 正しき心の探求
- 四正道(よんしょうどう)
この世にいる間だけではなくて、あの世・来世の「本当の幸福」を探しましょう、というような意味です。
宗教団体を主軸として、様々な活動を行っているのも特徴です。
など他の宗教に比べると広範囲での活動をしており、週刊誌などでもたびたび話題になる存在になっています。
ちなみに、オリジナルアニメはAmazonプライムからでも視聴が可能です。
気になる方はチェックしてみては?
危険と言われている理由
幸福の科学という名のとおり、「幸福」について日々説いているのですが…
「あなたの幸福には“正しい信仰”、つまりエル・カンターレの教えを守ることが重要だ」
引用元:幸福の科学とは|危険と言われる独特な信仰の実態
信じる者は救われるといった教義ですね。
信仰心を試される、刷り込まれるのは仏教やキリスト教など既存宗教の教えでも似たようなものですから、何とも言えません。
定期的に行われる大講演会の様子は、一般人から見ると「異様」な雰囲気…
※会場では総裁の登場に涙する人も・・・
幸福の科学への入会時には「三帰誓願(さんきせいがん)」をする必要があります。
団体の3つの宝(三宝)について、深く信仰することを誓わなければなりません。
幸福の科学では「三宝」以下のように定義しています。
- 仏宝:エル・カンターレの教えを説いてくれる大川隆法総裁
- 法宝:エル・カンターレである大川総裁の教え
- 僧宝:エル・カンターレの法を護持する集団(=幸福の科学)
つまり、身も心も投げだして大川総裁、『幸福の科学』を信仰するということ。
引用元:幸福の科学とは|危険と言われる独特な信仰の実態
また、大川隆法総裁の独特な降霊術「霊言」は、世間でもたびたび炎上することがあったり、団体への批判の声に対しての批判を公式で発表するといった行動も・・・
これらのことから、やばそうな雰囲気はかなり伝わってきますね・・・。
公表信者数はウソ?
先にも書いた通り、幸福の科学は政党である幸福実現党の支持母体です。
1,200万人もの信者がドッと投票をしたら、幸福実現党の議員が多数誕生していていいでしょう。
2022年の参院選での結果はなんと…
幸福実現党の当選者数は0人です。
というより、2009年に党が結成されて以降、国政選挙での勝利は0です。
※地方選挙では数十人規模で議員実績アリ。
さすがに信者数1,200万人以上とするにはムリがあるでしょう。
信者さん方が政治に興味がない?
いいえ、幸福実現党の総裁は、地球の至高神エル・カンターレの大川隆法総裁です。
大川総裁の政党を応援しないわけにはいかないでしょう。
ちなみに2022年の参議院選挙において、幸福実現党が比例代表で得た票数は、たったの148,020票/獲得議席0です。
>幸福実現党の正体がやばい!?幸福の科学との関係は政教分離違反なのか
一応ですが、全世界86か国で1,200万人以上とされているので、日本だけではないということなのですが…
(2010年発表/国際進出は全世界167か国に拡張)
確認しようにも客観的に確認できる人も団体もおりません。
日本以上に海外で信仰を集めるなんて難儀な話だと思いますし、実際にはかなりの誇大表現があるのではないかと思われます。
仮に国政選挙の比例代表投票数15万票弱を≒信者数とすると、日本の信者数は全信者のわずか1.25%ほどということに。
日本発で日本の教祖の宗教なのに、世界での信仰の方が国内より厚いなんてこと、ありえるのでしょうか?
この信者数のズレは、経典の累計発行部数をそのままイコール信者数としての発表ということに由来しています。
そんなもの、ズレにズレまくるのは当然ですね…
新興宗教危険度ランキングまとめ
今回は危険なカルト宗教の定義に基づきながら、3つの宗教をランキング形式でお伝えしました。
どの宗教もなにかと問題はありそうですが・・・
多くの信者がいるのも事実なので一概に良し悪しは言えません。
とはいえ、独特な教えがあったり、制約が厳しいと一般的な生活に支障をきたすため、そういった意味では「危険」と捉えられても仕方のないことでしょう。
宗教に興味があるのであれば、しっかりと調べてから入会することをオススメします。