1990年代前半に大きな話題となった「エホバの証人」。
現在でも勧誘活動などで度々耳にすることがあります。
- 「エホバの証人信者は『輸血』ができない」
- 「子どもに体罰をする宗教だ」
メディアで取り上げられる話題はこのような危うい話ばかりです。
実際のところ「エホバの証人」とは一体何なのでしょうか。
今回は「エホバの証人」について、
注意ポイント
- そもそもどういう宗教?
- キリスト教とのちがいは?
- 禁止事項ってなに?
- 輸血禁止って本当?
- 体罰ってどういうこと?
- 芸能人に信者はいるの?
といったポイントに絞り実態をお伝えしていきます!
エホバの証人とは
「エホバの証人」は1870年代に誕生したキリスト教系統の新しい宗教。
唯一神「エホバ」を崇拝対象としており、キリストが神であることは否定している団体です。
証人とは『真理を語る人』の意。
つまり「エホバの証人」は『すべてのものの創造者エホバについての真理を語る人』ということになります。
エホバの証人の教えを簡潔にまとめるとこうです。
いずれ世界の終末がおとずれて、そのあとには『楽園』がやってくる。
『楽園』にいけるよう、エホバの教えにならって生きましょうね。
キリスト教系統ではあるものの・・・
キリスト教主流派が重視している基本信条を否定し、さらに他宗教についてもすべて否定しています。
また、以下のような特徴も有名ですね。
- 伝道活動を熱心に行う
- 輸血を拒否する
- 禁止事項が多い
他宗教に排他的であったり、輸血の禁止であったり、ちょっぴり怖い印象がありますが・・・
日本にも信者は多数いて、2016年の時点で20万人以上と言われています。
2014年の公表値によると、エホバの証人の全世界での伝道者数は約820万人である[証人 1]。日本においては2016年度時点で平均21万5,292人、最高21万5,703人であるという。
参照:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A8%E3%83%9B%E3%83%90%E3%81%AE%E8%A8%BC%E4%BA%BA
エホバの証人とキリスト教の違い
キリスト教系の新宗教「エホバの証人」は、「キリスト教」とはどういった点が違うのでしょうか。
キリスト教との違い
- 崇拝対象
- 聖典
- 主な制限事項
3つのポイントで確認してみましょう。
1.崇拝対象(神)
- キリスト教:三位一体(父と子と聖霊)
- エホバの証人:唯一神エホバ
三位一体は3つの存在がひとつになっているという意味です。
イエス・キリストはここでいう「子」にあたります。
そして、そのキリストが信じた「天の父(創造者)」、そして「聖霊」の3つを合わせた『三位一体』がキリスト教の崇拝対象となっているのです。
一方、エホバの証人はキリストが神であることを否定し、唯一神「エホバ(万物の創造主)」を崇拝しています。
2.聖典(聖書)
- キリスト教:『聖書(旧約聖書、新約聖書)』
- エホバの証人:『新世界訳聖書』
旧約聖書や新約聖書は有名なので一度は耳にしてことがありますよね。
キリスト教ではこれらの『聖書』を聖典としています。
エホバの証人での聖典は『新世界訳聖書』。
これは『聖書』の内容を団体の見解に合うように改定されたものです。
ですので、キリスト教系統ではあるものの信仰内容に違いがあります。
3.主な制限事項
- キリスト教:生活上の制限は原則なし
- エホバの証人:テレビ・音楽などの娯楽ジャンルの制限、輸血の禁止、地域の祭りなど一般人との交流の場への参加制限など
キリスト教全体では生活上の制限は原則ありません。
ただし、教派や教会によっては「避けるべき事項(例:お酒やたばこ)」が設定されている場合もあるようです。
その一方でエホバの証人では娯楽をはじめ、多くの制限が定められています。
キリスト教との違いについて、より詳しくはこちらから。
厳しすぎるルール・禁止事項
エホバの証人には「厳しすぎるのでは?」と思うほどさまざまな『禁止事項』が設けられています。
禁止事項一覧
- 「競争」「政治参加」「恋愛」などに触れるテレビ・映画・アニメ・漫画の閲覧
- ゲーム、ギャンブル
- プロレスやボクシング、空手など「娯楽要素が強く暴力性のある」スポーツ
- ロックやポップなどの近現代音楽(クラシックやオーケストラはOK)
- インターネット
- 女性の派手なメイク、男性がヒゲを伸ばすこと
- 地域の祭りやスポーツ大会など「一般の人との交流の場」への参加
- クリスマスを楽しむこと
- 輸血、血液を含む食材(例:赤肉)を食すこと
ここに挙げたのは一部ですが、それでも多くの禁止事項が定められています。
エホバの証人信者ではない者からすると「え…?じゃあ普段はなにやっているの?」と思ってしまうレベルですよね。
ただ、さすがに現代において「インターネット」に関する制限は守らない人もいるみたいです。
教団自体もホームページを持っているようですし・・・
参考
冒頭でも記載しましたが、エホバの証人は「伝道活動を熱心に行う」ことが特徴の一つです。
娯楽に時間をあてずに「布教活動に専念する」ということですね。
一般的にも有名な「輸血禁止」
禁止事項の中でも特に有名なのが「輸血禁止」です。
エホバの証人の輸血に関する聖書への解釈は「血は避けるべきもの」であるということ。
血を避ける=血液を食すこと、体内に取り入れる行為(つまり輸血)を避けるというような考えです。
神は「血は命をあらわすもの」とされており、命を与えてくれた神への敬意として、血を取り入れることを避けるそうです。
代替治療として無輸血治療や自己輸血については個人の良心に基づいて決定して良いそうですが・・・
基本的に血液を食すること・体内に取り入れることが禁止されています。
「輸血禁止」で起きた事件
この「輸血禁止」については社会的にも問題になることが多い部分です。
1992年に起きた『エホバの証人輸血拒否事件』をご存知でしょうか。
病院で手術を受ける際に、信者が「輸血禁止」に従い輸血を拒否。
しかし、病院側は必要な処置として信者に無断で輸血を行いました。
医師としては「輸血拒否の意志は尊重する。
しかし、命を救うために輸血はやむを得ない」と判断し、手術中に輸血を行ったのですが・・・
手術後、信者は大きなショックを受けました。
「あんなに輸血は嫌だって言ったのに・・・」
そして、人格権を侵害したとして病院側に慰謝料を請求したという事件です。
この事件は輸血拒否、そして自己決定権について争われた例としてとても有名です。
輸血をめぐってこのような事件が度々起きました。
しつこい勧誘や寄付はあるのか?
宗教ときくと「しつこい勧誘」や「寄付」のイメージが強いですが、エホバの証人はどうなんでしょうか?
勧誘は基本的に「温厚」
エホバの証人には専業主婦も多く在籍しています。
そのため、昼間の時間帯にくる勧誘は温厚な女性が多いようです。
エホバの証人では争いが禁じられていることもあり、訪問先で嫌な顔をされても特に気にはとめないようです。
(むしろ哀れみの目で見られる場合も)
一昔前の訪問営業のような強引なやり方こそないものの、毅然な態度を取れなかった場合、何度も訪問されることでは有名です。
少しでも迷惑だな、と感じたら、きっぱりと断ることが大事です。
訪問時に配布される冊子は信者には「有料」
訪問勧誘時や街頭勧誘時に「寄付」を募ることがあります。
これについては「まあ、分かる・・・」という範囲です。
エホバの証人では「信者による寄付」が多いのが現状です。
どういうことかというと・・・
勧誘の際に配布されている冊子があります。
“勧誘される側”は無料ですが、信者になった後の自身で読む分については有料となります。
信者からの冊子購入費を「寄付」として扱っているのです。
危険な団体なのか?エホバの特徴と体罰の存在
これまでお伝えしてきたエホバの証人についてのポイントをまとめると・・・
エホバの特徴
- 他宗教に排他的
- 熱心な伝道活動
- 輸血禁止など厳しい禁止事項
- 勧誘は基本的に温厚だが断らないと何度でも来る
そして、これらに加えて大きなポイントがもう1つあります。
それは「体罰に寛容(もはや推奨レベル)の教育」がされている点です。
悪い行いは「サタン(=悪魔)に支配されている」という考え方をしており、体罰を行うことでサタンを体内から追い出すように教育されています。
教義にも「体罰は命を救う」とあり、信者以外の人からすると「そんなわけないだろ!」と思うような部分も、真面目な性格の信者は熱心に信じ込んで実行してしまうこともあるようです。
信者全員とは限りませんが、この教義はときに悲惨な事件を生み出してしまうことも・・・
これらのことを踏まえたうえで危険がどうかを判断するのはあくまで「あなた次第」ですね。
元エホバの証人信者が描いた体験漫画が発売されています。
気になる方は、こちらを参考にするのも良いかもしれません。
エホバの証人信者の芸能人は?
芸能人の中にはエホバ信者はいるのでしょうか?
・・・日本では際立って有名な信者はあまりいないようです。
(公表されていない)
ときどき、さまざまな芸能人の信者噂が立ちますが、それは「あくまで噂」にすぎません。
確たる証拠やカミングアウトがなければ、あまり信用しない方が良いでしょう。
一方、世界に目を向ければ知名度が高い信者がいます。
その一人がマイケル・ジャクソン。
彼は母親の影響で2008年までエホバの証人信者でした。
名曲「スリラー」の発売を機に知り合った人からの勧誘で改宗したそうですが、世界的に有名な人の中にも信者は紛れ込んでいるということですね。
エホバの証人実態まとめ
さいごに今回紹介した「エホバの証人」についてまとめてみましょう。
- 「エホバの証人」はキリスト教系の新宗教
- 崇拝対象は唯一神エホバ
- 聖典は「聖書」を改定した「新世界訳聖書」
- 伝道活動を熱心に行う
- 輸血を拒否するなど禁止事項が多い
- 勧誘は基本的には温厚
- 体罰に寛容
- 日本の芸能人に信者はあまり公表されていないが、世界的には有名人が在籍している
「キリスト教の仲間なのかな~」という印象の方は多いかと思いますが、その実態はキリスト教系ではあるものの全くの別物ですね。
禁止事項や体罰問題について知れば知るほど怖い印象が・・・
しかし、実際には温厚な人の集まりという話も・・・
真相は教団に入ってみるほか分からないのかもしれません。