仏教知識

お坊さんが坊主頭である理由|宗派によるルールの違いに秘密が・・・

お坊さん 坊主頭 理由 宗派

 

お坊さんと耳にして、頭に浮かぶ髪型といえば・・・

ツルツルに剃っている、もしくは短く刈り込んだスタイルですね。

しかし、なぜ彼らはそんなヘアスタイルなのでしょうか。

 

「でも、この前参列したお通夜のお坊さんは、坊主頭じゃなかったしなあ……」

そうですよね、確かに『毛の生えたお坊さん』も見たことありますよね。

実は宗派にも秘密があって・・・

ということで今回は、
お坊さんが坊主頭である理由|宗派によるルールの違いに秘密が・・・
をお送りします。

 

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古代インド仏教に答えのヒントが

「お坊さんの坊主頭の秘密がそんなところに!?」

と思うかもしれませんw

しかし、それも当然、仏教は古代インドが発祥の地ですからね。

当時の文献にその理由が記載されているのです。

 

仏教典『ミリンダ王の問い』

紀元前2世紀ごろ、インド西北部を支配していた王国「インド・グリーク朝」。

ここの王様メナンドロス1世(ミリンダ王)はギリシャ人で、ゼウスらギリシャの神々を信仰していました。

 

そんな彼は、インド北部で信仰を集めていた仏教を奇妙に感じていました。

そこで仏教のお坊さん、ナーガセーナを呼んで、色々と仏教について問いただしたといいます。

 

その一つこそが・・・

お坊さんの坊主頭について。

 

「なぜ、あなたたち、仏教のお坊さんは髪の毛を剃っているのか?」

これに対して、お坊さんは以下の様に答えています。

「髪があると飾り立てたくなったり美しく装いたくなったりしてしまいます。また毛髪が抜けたときには、悩んだり嘆いたりしてしまうのです。これらは出家生活にとっては邪魔なものでしかありません。」

 

つまり『髪の毛のことを気にしていては仏教の修行に専念できないから』という風に言い換えることが出来るでしょう。

これが、お坊さんが坊主頭にする大元の理由です。

この問答は仏教典「ミリンダ王の問い」(那先比丘経)に収録されています。

 

大分コアな内容であること、古い割には3000円台であること、シリーズで3冊もあること・・・

ですから仏教マニア以外にはおすすめしませんが(笑)

 

宗派による違い

坊主頭ではないお坊さん

一方で全てのお坊さんが坊主頭という訳ではありません。

その代表格が浄土真宗ですね。

浄土真宗のお坊さんが坊主頭ではない秘密は、宗派の成り立ちに理由が隠されています。

 

「阿弥陀佛は非常に懐が広い仏さま。なぜなら阿弥陀佛を信仰するだけで誰でも極楽浄土へと導いてくださるのですから」

このような教えを説き、庶民から絶大な支持を得たのが、浄土真宗の開祖・親鸞です。

>>>浄土真宗『東と西の宗派の違い』両者が分派した歴史的背景は?

 

彼は肉を口にしたり、妻をめとったりと・・・

仏教界のタブーを次々と犯したことで知られています。

 

なぜ、そんなことをしたのか?

これは、厳しい修行を経てしか人間は救われない』という既存仏教会の教えに疑問を呈したかったから。

阿弥陀仏の慈悲深い懐があれば『その行いに関わらず誰でも救ってくださる』という考えに達したのです。

 

ですから、お坊さんであっても、浄土真宗ではヘアスタイルも坊主頭にしたり剃髪する必要がありません。

『何も特別なことをすることがない』ということですね。

 

そのため、その他の仏教でのお坊さんになることを出家と表しますが、浄土真宗の場合は出家という言葉は使いません。

ありのままの生活を受け入れる、要は浄土真宗のお坊さんは、そこらの一般人の方と立ち位置的には何も変わらないのです。

その説明として、出家に対し在家(ざいけ)という言葉で表現されることもあります。

在家仏教、などと呼ばれてもいます。

 

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浄土真宗でも名残はある

「ただ、念仏を一心に唱えるように」

これは、親鸞の師匠である法然が開いた浄土宗の教え。

剃髪・坊主頭は問題ではなく、『ひたすらに念仏を唱え仏にすがれば良い』という考え方です。

 

しかし、浄土真宗でも正式に宗門に入るときにおこなわれる「帰敬式」と呼ばれる儀式があります。

別名「おかみそり」と呼ばれる儀式です。

名前の通り、髪をそる儀式なのですが、実際には全ての髪の毛を剃髪するわけではなく、頭に当てるだけの儀式です。

 

なぜこれを行うのかと言えば、初めに紹介した古代インド仏教の考えからです。

『浄土真宗の流儀(親鸞の教え)とは異なるが、お釈迦様の説いた大元の教えも大事にするべく行っている儀式』と言えるでしょう。

 

禅宗のルール

一方でツルツル頭のお坊さんが大勢で修行をしているお寺もあります。

例えば、禅宗である曹洞宗の大本山・永平寺。

 

なぜ彼らが髪が短い坊主頭ですらない剃髪の状態なのかというと、定期的に剃っているから。

4と9が付く日に剃髪する決まりになっているようで、これは同じく禅宗である臨済宗も同様です。

これは末尾が5、そして0の日に、位の高いお坊さんから教えを受けるため、その前日に身なりを整えるという考え方があるからです。

 

密教のルール

ならば、真言宗など密教のお坊さんはどうなのか?

密教の代表的な宗派・真言宗智山派の尼僧さんのブログによると・・・

彼女の宗派では修行中、3日に1回、剃髪することというルールがあるとか。

取り敢えず真言宗智山派でお坊さんになろうと思ったら、男も女も問答無用でツルツル不可避です。

私達の時は、最低でも3日に一回の剃髪が義務付けられていました

宥貴のお寺日記より。

 

これは男女の別なくおこなわれるといいますから、非常に厳しいのです。

しかし、いったん修業を終えて僧籍を得たり住職になったりすると・・・

『頭髪に対しては意外と寛容、お坊さん任せになる』とのこと。

 

そういえば、真言宗の僧侶としても知られる作家・家田荘子さんなどは、ベリーショートの髪型ながら剃髪はしていませんよね。

 

宗派や地域によるもの

宗派と一口に言っても、大きな宗派の中では、かなり細分化がされています。

例えば分家に次ぐ分家で、真言宗などは18もの本山が存在している状態です。

>>>真言宗の宗派の違いまとめ『真言十八本山の分類』と『古義と新義の成り立ち』とは

 

なので、「真言宗はこう!」というよりも、「真言宗智山派はこう!」「高野山派はこう!」などと、それぞれの派閥ごとに状況が変わってしまうのですね。

これは地域も絡んでくる話です。

同じ宗派、同じ派閥であっても、関東と関西では異なるルールがあったりするのも珍しくありません。

 

 

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まとめ

今回はお坊さんの坊主頭についてお送りしました。

仏教のお坊さんの理念は坊主頭・剃髪であるが、宗派や地域、修業期間によってそのルールは大分異なってくるということです。

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