お位牌を買う時、お位牌に手を合わせるとき…。
「お位牌って何なんだろう?」と思うことありますよね。
ウィキにはこうあります。
位牌(いはい)は、死者の祭祀のため、死者の戒名や法名、法号などを記した木の板。
引用元:Wikipedia
「それはわかっているんだ…」って、ついつい言ってしまいそうな説明ですね^^;
お仏壇にある、黒い木の札、それは分かっているのです。
日本の仏教の中でのお位牌の意味であり、役割とは何なのか?
解説していきたいと思います。
お位牌の意味とは
お位牌にはどういう役割があり、意味があるのか?
詳しく見てみましょう。
お位牌は、故人の霊の依代(よりしろ)と言われています。
お盆に故人の霊が戻ってこられると言うのは有名ですが、お正月にも戻ってこられます。
その際に宿る場所となるのがお位牌です。
故人の、戒名・俗名・年齢・死亡年月日を記してお祀りするものです。
お位牌は故人の霊魂が仮に宿る場所となります。
お位牌は、通常はご自宅のお仏壇と共にあるべきものです。
もしくは、お寺の位牌壇という位牌を置く場所に置かれることもありますが、それぞれの場所に戻ってこられるんですね。
そう、お位牌は故人を祀るためにあるものなのです。
お位牌とお仏壇・お墓との違い
お位牌・お仏壇・お墓、どれも形は違えど・・・
お盆やお正月に手を合わせるのは同じです。
これらの役割の違いを見ていきます。
お位牌とお仏壇の違い
お仏壇は位牌と祀っている対象が異なります。
お仏壇にはご本尊が祀られています。
ご本尊というのは信仰する対象を模した仏像のことを指しています。
お仏壇の最上段には少し高くなったところがありますが、これを須弥段といい、「ご本尊」を祀ります。 位牌壇(一段下)にはお位牌(ご先祖様)を祀ります。これはご本尊にお位牌(ご先祖様)が守られているという考え方です。
お仏壇の前に座るとなぜか自然に姿勢が正され、きちんとした態度をとります。
毎朝、ご先祖様に家族の無事・日々の感謝をし手を合わす。時に懺悔の気持ちを願うこともあるでしょう。 日々の生活の中にこのようにお仏壇があることにより仏様が必ず精神的な支えとなって、守ってくれるというのが私たち日本人の自然な思いです。
このご本尊は宗派によって明確に異なります。
主だった宗派の本尊としては
浄土宗…阿弥陀如来
浄土真宗…阿弥陀如来
真言宗…大日如来
天台宗…特定の本尊を定めていない
日蓮宗…大曼荼羅・日蓮聖人・阿弥陀如来・釈迦如来・観世音菩薩・薬師如来
法相宗…弥勒菩薩
律宗…盧舎那仏
華厳宗…毘盧遮那仏
融通念仏宗…十一尊天得如来
時宗…阿弥陀如来
臨済宗…特定の本尊を定めていない
曹洞宗…釈迦如来
黄檗宗…釈迦如来
など(※宗旨宗派によっては異なる場合もあります)。
お仏壇は『ご本尊をお祀りする為のもの』ということですね。
お仏壇とお位牌をセットで置く意味とは
お仏壇にお位牌があることで・・・
お位牌に帰ってきたご先祖様が、ご本尊にお参りができる訳です。
加えて、私たちも仏様とご先祖様とに同時に手を合わせているということになります。
これらのことが『お仏壇の中にお位牌を置く理由』となる訳です。
お仏壇(お位牌)とお墓のちがい
続いて、お仏壇と位牌、そしてお墓の違いについて解説しましょう。
ご存知の通り、お墓もご先祖様を祀る為のものです。
- 「なぜ同じ役割のものがふたつ・・・?」
- 「どちらかでいいのでは?」
と思いますよね。
実は同じ先祖供養の為のものでも・・・
その意味合いは大分異なるのです。
お墓に収められているのは遺骨。
人の死も自然の一部として考え、骨を土に還すことで安らかな眠りについてほしいという祈りが込められたものです。
対して、お位牌は魂の依代。
お仏壇は御本尊とともにあるので「小さなお寺」としての役割があります。
故人が仏様に弟子入りし、ご本尊のもとに見守られているという意味合いが込められているのです。
それぞれに違う意味合いの供養の気持ちが込められているのです。
お墓とお仏壇|魂の所在は
日本には古来から・・・
魂は1つではなく複数存在するという考えがあります。
複数に分かれた魂は、お墓にもお位牌にも宿っているのです。
また、お墓とお位牌では、魂の種類が違うという由来もあります。
日本にも飛鳥時代に伝わったとされる、中国社会の礼に関する諸説を集めた「礼記(らいき)」という書物に 書かれている内容ですが、『人は亡くなると、魂気(こんき)は天に還り、形魄(けいはく)は地に還る』とあります。 これは、人が亡くなると目に見えない精神の魂は天に還り、形(肉体)ある魂(白骨)は大地に還る。 だから二つの魂が宿るということです。
つまりお仏壇にご安置した「お位牌には精神の魂が宿り」、「お墓には肉体の魂が宿る」ということなのです。このようにお位牌・お墓にも大切な意味があるのです。
精神と肉体、それぞれの魂を祀る場所という解釈ですね。
そして、お位牌も同じ故人のものを複数つくることができます。
これを位牌分けと呼びます。
兄弟が離れたところに住んでいるなどの時に、位牌分けをすることで両親を身近に供養することが出来るのですね。
2種類のお位牌
お位牌には白と黒の位牌があります。
どちらにも戒名などが記されていますが・・・
この2つには異なる役割があります。
白木位牌(内位牌・野位牌・仮位牌)とは
白木位牌は「しらきいはい」と読み、ご臨終後すぐに作られ、葬儀で使用されるものになります。
お亡くなりになった後すぐに立派な漆塗りの位牌をつくることは難しいので、本位牌が出来るまでに使用する仮のお位牌です。
四十九日までご遺骨・写真などとともにお祀りいたします。
地域や宗派によって、以下の様な呼び方もされます。
- 内位牌(うちいはい)
- 野位牌(のいはい)
- 仮位牌(かりいはい)
本位牌とは
黒い漆塗りの位牌を本位牌と呼びます。
こちらが正式なお位牌となります。
本位牌を四十九日までに準備して魂入れ(開眼法要)をしていただきましょう。
実は、厳密に白木位牌をそのまま使用してはいけないというルールはないのですが・・・
白木の位牌を使い続けるには、物理的に難しい理由が2つあります。
- 大きくて仏壇内に収まりが悪い
- むき身の木材なので耐久性がない
なので、本位牌を作らねばならないのですね。
また、忌中であった四十九日を過ぎ、残された家族が『これからの生活を考えていく為の切り替えの意味』もあるのかもしれません。
白木位牌に対して、黒位牌と呼ばれることもあります。
まとめ
位牌は魂の依り代であり、先祖供養の為のものです。
今一度故人様を想って、手を合わせてみませんか。