七福神と聞いて、七人の神様が乗った宝船をイメージされる方は多いと思います。
ですが、数が多いせいもあり・・・
- 七人全ての名前は思い出せない
- 何の宗教の神様なのか?
こう疑問に思うことありますよね。
7人もいると、そらで言える人って逆に少ないんじゃないですかねー?
今回はそんな、とても縁起の良い七福神のお話です。
ということで、
七福神『名前一覧』まとめ|ご利益の意味と由来とは
をお送りします。
七福神とは
七福神とは、幸福をもたらす福の神として日本で信仰されている七柱の神様のことです。
※神様は一人ではなく一柱(はしら)と数えます。
室町時代から幸運・金運・福を授けてくれる神様としてまとめて信仰されるようになりました。
仁王般若経で説かれている七難即滅、七福即生(しちなんそくめつ、しちふくそくしょう)にあやかり七福神の信仰が始まったとされています。
七難とは
この七難とは主に自然的な災害の事です。
- 太陽の異変
- 月の異変
- 火災
- 水害
- 風害
- 旱害(日照りなどで作物が実らないこと)
- 盗難
七福神を参拝すると、この七つの災難から逃れ、七つの幸福を授かると言われています。
当時の庶民性に合致していたので、特に農民・漁民からの信仰を集めてきました。
現在の形で人々に定着したのは江戸時代の頃。
狩野探幽が描いた『宝船に乗った七福神の浮世絵』が評判となり江戸から広まっていきました。
初夢に縁起の良い七福神の夢を見るためにと、七福神の浮世絵は江戸っ子に大人気となり大変売れたそうです。
今でも『見たいものの絵を枕の下に入れて寝るとその夢が見える』と聞きますが、江戸時代の頃からそんな考えがあったんですね。
お正月の七福神巡り
お正月は初詣!というのは日本人なら昔から定番ですが・・・
正月にちなんだ話では『初夢に宝船に乗った七福神が登場すると縁起が良い』という話がありますね。
それに加え、七福神を祀っている神社にを巡る『七福神巡り』という正月行事も存在しています。
松の内に七福神巡りをすることで、その年の禍を回避し福を授かることができると信じられています。
(関東は1月7日・関西は1月15日)
近年の御朱印帳ブームも手伝って、七福神巡りが各地で密かな人気になっています。
なんと七福神巡り専用の色紙まで販売されています。
1枚の色紙に七つの御朱印が押されているのは、見た目にも華やかですし、ご利益も凄そうです!
七福神の名前の意味や由来
七福神とは以下の七つの神様の総称です。
- 恵比寿(えびす)……日本古来の神
- 大黒天(だいこくてん)……ヒンドゥー教
- 毘沙門天(びしゃもんてん)……ヒンドゥー教
- 弁財天(べんざいてん)……ヒンドゥー教
- 寿老人(じゅろうじん)……道教
- 福禄寿(ふくろくじゅ)……道教
- 布袋尊(ほていそん)……実在した唐の僧侶
七福神進行は日本で始まったのですが、なんとこの七柱の中で日本古来の神様は恵比寿様だけです。
ほとんどインドと中国の神様!という所もびっくりですが・・・
それよりも実在したお坊さん(の神格化)までいるのがびっくりですね!
それでは一柱ずつ見ていきましょう。
恵比寿(えびす)
七福神の中で唯一、日本古来の神様です。
烏帽子を被り釣竿を持ち鯛を抱えた姿で描かれています。
恵比寿はイザナギとイザナミの子供の蛭子命(ひるこ)とされており、3歳になっても歩けなかった為、芦船に乗せられ海に流されたとされています。
その後、兵庫県西宮に流れ着き、漁師たちに祀られて恵比寿と呼ばれる神になりました。
日本各地の恵比寿様を祀っているえびす神社の総本山は兵庫県にある西宮神社です。
今では商売繁盛の神様・大漁豊作の神様として親しまれています。
恵比寿様のご利益
- 商売繁盛
- 除厄招福
- 五穀豊穣
- 大漁守護
大黒天(だいこくてん)
元はヒンドゥー教の神様『シヴァ』です。
福袋と打ち出の小槌を持った姿で描かれています。
古代インドでマハーカーラ(大いなる暗黒)と呼ばれていた破壊と豊穣の神シヴァ。
インドから中国に伝来する中で、マハーカーラを大黒と訳され、大黒天と呼ばれるようになりました。
大黒天は元々、戦い・財産・冥府の三つを司る神様でした。
ですが、出雲大社の大国主命(おおくにぬしのみこと)と神仏習合したことをきっかけに、豊穣の面だけが残り、七福神の一柱として食物と財福を司る神として知られるようになったのです。
なぜ大国主命と神仏習合したかと言えば、「だいこく」という音が通じた為とされています。
大黒天のご利益
- 財運福徳
- 五穀豊穣
- 出世開運
- 商売繁盛
- 縁結び
- 子孫繁栄
毘沙門天(びしゃもんてん)
元はヒンドゥー教の財宝神『クベーラ』です。
甲冑をまとい矛と宝塔を持った、勇ましい姿で描かれています。
インドでは財宝の神でしたが、中国で仏教を守護する四天王の一柱となり北方を守護しています。
四天王としての名前は多聞天(たもんてん)と言い、最強の力を持つリーダーとされています。
中国での守護神としての姿や役割が日本でも取り入れられ、七福神の中で唯一、甲冑をまとい険しい表情をしています。
日本では財宝・厄除け・勝負事に利益のある神様として厚く信仰されています。
戦国武将の上杉謙信が自らを毘沙門天の生まれ変わりと信じ、信仰していたことはとても有名ですね。
ご利益は勝負事や合格祈願の他に、元々インドでは財宝神だったことから金運アップもあります。
毘沙門天のご利益
- 勝負祈願
- 合格祈願
- 武道成就
- 金運アップ・蓄財
弁財天(べんざいてん)
元はヒンドゥー教、水と音楽の女神『サラスヴァーティ』です。
琵琶を手にした美しい女神の姿で描かれます。
古代インドの水神サラスヴァーティは川の恵から豊穣の神、川の音が美しいことから音楽・弁舌の女神として信仰されています。
中国で大弁才天女、妙音天、美音天と訳されました。
この内の大弁才天女が略されて、弁才天と呼ばれるようなったのです。
日本で市杵嶋姫命(イチキシマヒメ)と神仏習合した後、宇賀神とも習合しています。
日本の仏典(弁天五部)で財宝を司る設定が付加され、才の字が変化し弁財天と書かれるようになります。
蓄財の神、学問・芸術の神として神社で祀られています。
弁財天の性質がよく現れているのが、江ノ島の銭洗弁天宇賀福神社。
水でお金を清めると、そのお金が増えると言われており、観光客から非常に人気を集めています。
弁財天のご利益
- 財福
- 海上安全
- 音楽上達
- 技芸上達
- 弁舌
- 恋愛成就
- 子孫繁栄
福禄寿
元は道教の神仙で南極老人星、『カノープス』の化身です。
長い頭をした背の低い異形の老人として描かれます。
長寿の象徴である鶴と亀を従え、手には杖を持っているのが特徴です。
この杖は水源や鉱脈の場所を示し人々を豊かにすると伝えられています。
名前の由来は道教で掲げられた三徳「福・禄・寿」(幸福・身分・長寿)を合わせたもの。
人間の願い三つ全てを叶えてくれる福の神として、頭の長い面白い風貌と共に日本でも早くから福禄寿信仰は広がったとされています。
日本でも中国の信仰に習い長寿の神・人徳の神として親しまれています。
福禄寿のご利益
- 財運招福
- 延命長寿
- 子孫繁栄
- 立身出世
寿老人(じゅろうじん)
福徳寿と同じく南極老人星『カノープス』を人格化した神で、人の寿命を司っています。
なお福徳寿とは同体異名であるとされますが、今では別々の神様として七福神に入っています。
背が低く白いひげをした姿で描かれます。
手には巻物が括りついた杖と長寿の印である桃を持ち、長寿の象徴である鹿を従えています。
巻物は「司命の巻」と呼ばれ人間一人一人の寿命が記されています。
健康・長寿・福禄の神として信仰されています。
寿老人のご利益
- 延命長寿
- 幸福長寿
- 家庭円満
布袋尊(ほていそん)
中国に実在した禅僧、契此(かいし)。
なんと布袋尊だけは唐の時代に実在した僧です。
福々しい笑顔をした太鼓腹で大きな袋を持った姿で描かれます。
もらったお布施を大きな袋にしまっていた事から、布袋和尚と呼ばれるようになりました。
人の吉凶や天気を占えば百発百中の予知能力と、雪の中で寝ても濡れない(???(笑))不思議な力を持っていました。
そのため弥勒菩薩の化身として死後信仰を集め、神格化されました。
背負っている袋はもらった施しはなんでも入れていた事から堪忍袋と言われています。
『堪忍袋の緒が切れる』の堪忍袋は、なんでも袋にしまっていた布袋尊の袋の緒をさしています。
なぜ七福神に加えられるようになったかは定かではありませんが・・・
- 大きな袋が大黒天に通じている
- 弥勒菩薩の化身とされている
など諸説あります。
布袋尊のご利益
- 商売繁盛
- 笑門来福
- 夫婦円満
- 子宝
まとめ
- 七福神はお経の七難即滅、七福即生に肖って別々で信仰されていた福の神を集めて生まれた
- 室町時代からまとめて信仰されていたが、今の形になったのは江戸時代
- 日本古来の神様は恵比寿だけ
- 初夢に見るととても縁起がいい
- 七福神巡りは松の内の間に行うと一年間福を授かる
七福神の成り立ちや各神様のご利益、元々はどんな神様だったのか。
これらを知ってからお参りするとよりご利益にあやかれそうですね。