山道や、田舎の村の端にひっそりと佇む、石碑ともお地蔵さんとも似ている石像。
「なんだろう?」
「道祖神祭りってあるけどなんのお祭り?」
と思われている方のために、今回は道祖神とはなんなのかをご紹介します。
ということで、
道祖神とは|祀られている意味・ルーツを簡単にわかりやすく解説!
をお送りします。
道祖神とは
峠・辻・村境などにある、丸石や夫婦を象った石像や陰陽石を神体とする石仏のことです。
害虫・疫病・悪霊などの災厄の侵入を防ぐ結界・村の守り神として、道祖神は峠・辻や、村境に祀られています。
人の往来が今ほど活発でなく村で生涯を終える人が多かった昔。
作物に害をなす虫や疫病を持ち込むのは、村の外からやってくる渡り鳥や旅芸人でした。
外から悪いものが入って来るのを防ぐ為、塞の神(さえのかみ)との呼び名もあります。
その起源はとても古く、平安時代に作られた今昔物語に記述が残っています。
また時代は下って江戸時代。
松尾芭蕉の紀行文おくのほそ道の序文にも道祖神が登場しています。
主なご利益は以下の通り。
- 疫病退散
- 五穀豊穣
- 縁結び
- 家内安全
- 子孫繁栄
- 旅の安全
- etc
このように、とてもありがたい存在だとされているのです。
道祖神を祀っている神社は、縁結びや子宝のご利益があるパワースポットとして人気があります。
道祖神のルーツ
道祖神は日本各地で信仰されている庶民の生活に根付いた神様です。
道祖神のルーツは、
- 中国で古くから信仰されてきた旅の神様
- 日本各地で民俗信仰されていた豊穣・厄除け・道中安全の神「岐の神」猿田彦大神
この2人の神様が習合した他、各村々伝えられていた様々な伝承とも習合しています。
※諸説あります。
そのため神体の形状や呼び名がとても多いのが特徴です。
神体は丸い石や石塔、藁で作られた草履や人形、夫婦の形の石像などがあります。
道祖神の呼び名
道祖神は様々な形があるのと同じくその呼び名もとても多様です。
以下によく呼ばれている道祖神の呼び名をまとめました。
- 道祖神(どうそじん・さやのかみ)
- 塞の神(さいのかみ・さやのかみ)
- 障の神(さえのかみ)
- 岐の神(ちまたのかみ)
- タムケノカミ
- 仁王さん(におうさん)
漢字は同じなのに、読み方は違う所が広い地域で信仰されてきたんだなぁと思わされます。
この他にもその地域地域で違う呼び名で親しまれているかもしれませんね。
道祖神に関わる行事・お祭り
旧暦の風習である小正月に行われるどんど焼きは、道祖神の行事です。
そんな道祖神祭りの中でも有名なのは・・・
日本三大火祭りの一つとしても有名な長野県の野沢温泉の道祖神祭りです。
野沢温泉道祖神祭りは国の重要無形民俗文化財に指定されています。
神木で20mを越す大きさの社殿を作り、火をつけて燃やすお祭りです。
火つけの前に行われる松明を使っての攻防戦はとても迫力があります。
また火祭りの火で炙ったお餅は無病息災の縁起物とされています。
1月15日夜の道祖神祭りの社殿は、翌朝まで燃えています。
16日の朝になると、村の人々などが餅と網とお醤油などを持ってやってきます。
道祖神祭りの火は正月飾りや注連縄、お札などを焼いた神聖なものとされ、その残り火で 焼いた餅を食べると1年間は風邪を引かないと言われています。引用:野沢温泉観光協会:道祖神祭り
道祖神を祀っている神社のご紹介
主に道祖神は村を守るために村境や、交通安全のために峠に祀られています。
が、道祖神を神体として祀っている神社も存在します。
京都府:道祖神社
京都市下京区に道祖神社という名前の神社があります。
この神社は、猿田彦大神と天鈿女命が祀られています。
京都駅近くにある小さな神社ですが・・・
可愛らしい仲睦まじい夫婦の双体道祖神の石像があり、縁結び・夫婦円満のご利益がある神社として有名です。
愛知県:須崎神社(すさきじんじゃ)
名古屋市中区の洲崎神社には、縁結びの神として道祖神が祀られています。
恋愛パワースポットとして人気がある神社です。
縁結びの縄にくっつけられた紙に、縁を結んで欲しい人の名前を書いて、道祖串に結ぶという、ちょっと変わったお参り方法です。
まとめ
- 峠・辻・村境などの道端に祀られているのは悪霊・疫病の侵入を防ぐため
- 中国の旅の神と、日本の猿田彦大神・民間信仰されていた神が習合した神
- 小正月のどんど焼きは道祖神のお祭り
道端にぽつんと祀られている『石像━━道祖神』がなんのために祀られているのか分かっていただけましたか?
山道をドライブする時は、旅の安全を願って手を合わせるのも良いですね。