日本人は無宗教だと言われる事が多いですが、その実、二つの宗教が私たちの生活に根付いています。
その2つの宗教とは…。
そう、ご存知の通り神道と仏教です。
では、みなさんは神道と仏教の違いはお分かりですか?
その関係性は?
日本人なら知っておきたい!?
という事で今回は、
日本の宗教『神道と仏教』違いとその関係とは
をお送りします。
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全てに神が宿る神道
古く日本人は自然に畏れを抱くとともに【神】として敬い祭って来ました。
これは民間信仰のひとつですが、実は【神道】の始まりです。
そのため、教祖や教義などはありません。
神様も【八百万】の神と言われるように、数は非常に多いですが、下記の3種類に分ける事が出来ます。
- 自然神
- 生活神
- 人間神
第二次世界対戦中などは国教のような扱いをされ、天皇が神格化されましたが、終戦後は国家との関係を断ち、各地の神社ごとの信仰となっています。
仏教とは
キリスト教、イスラム教と並ぶ、世界三大宗教のひとつです。
紀元前5世紀頃インドで生まれ、日本には6世紀頃、中国・朝鮮を経て伝えられました。
12世紀頃までは貴族の宗教でしたが、鎌倉時代に入り『鎌倉仏教』が登場し、以降は庶民の間でも盛んになりました。
明治新政府の元では、一時民衆から寺院の破毀など受けましたが、現代にいたるまで、私たち日本人に最も馴染みの深い宗教となっています。
神道と仏教の違い
では、神道と仏教の違いとはどういったものがあるでしょうか。
神道と仏教は成り立ちからして大きく異なるので、違いは多々あります。
以下、5点大きく異なる点です。
崇拝対象
神道
上記でも挙げた通り、『八百万の神』と言われるように、非常に多くの神様を信仰の対象とします。
それは【太陽や水などの自然物から、人神、果ては貧乏の神様】なども存在し、全て信仰の対象となっています。
仏教
『悟りを開き、輪廻転生から解脱する』ことを目的としているので、元々は信仰の対象となるものありませんでした。
しかし、日本に伝来した際には人々に受け入れられやすいように、仏陀(釈迦如来)やその他の仏や菩薩を信仰の対象としました。
教典
神道
日本人の生活や習俗の中から、自然と生まれたものなので、教典は存在しません。
仏教
仏陀の教えが記録された【経典】を教典としていますが、【経典】は数多く編纂されており、出自が不明なものもあります。
目的
神道
正直な心で神と接すると、人々は神の加護により災いを避け、幸福に暮らす事が出来るとされています。
そのため、正直な心が保てるよう禊や祓いなどを行います。
仏教
悟りを開き、輪廻転生から解脱する事を目的としています。
宗教施設/聖職者
神道
神道における宗教施設は、もちろん【神社】で聖職者は神社にいる【神主、巫女】です。
神主の仕事は、神社に仕えて祈祷や社務とよばれる神社の事務作業を行っています。
仏教
仏教における宗教施設は【寺】で、聖職者は【僧、尼】です。
【僧、尼】は仏陀の教えを民衆に説いたり、お経を唱えたりしています。
参拝方法
神道
【二礼二拍手一礼】と言って、二回礼をし、二回手を打ち、最後に礼を一回行います。
この方法は、神社への参拝だけでなく、結婚式や葬祭など神前で行われるほとんどの行事で行われます。
神社への参拝時も、この方式を取りますが、慣れていないとドギマギしちゃいますよね(笑)
仏教
お賽銭を入れた後に、【合掌】をします。
この時、数珠は左手に掛けます。
>>>数珠の意味まとめ【深い歴史】と【ありがたい由来】がそこに
神道と仏教の関係
では、このような違いのある神道と仏教ですが、どのような関係の元、日本で定着をしていったのでしょうか。
日本における神道と仏教の割合
まずは日本での神道と仏教との割合を見てみましょう。
文化庁は毎年、宗教法人や宗教団体に対して、法人や団体の概要を把握し、行政上の資料を作成するため、宗教統計調査を行っています。
これによれば、現在ある法人および団体の系統別信仰者数は下記のようになります。
神道系
- 人数:89,526,176人
- 割合:47.4%
仏教系
- 人数:88,719,287人
- 割合:46.9%
キリスト教系
- 人数:1,928,079人
- 割合:1.0%
諸教(その他)
- 人数:8,718,964人
- 割合:4.7%
引用元:文化庁ホームページ(ファイル3.系統別単位宗教団体・教師・信者数)http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001082898&cycode=0
これを見ると、ほんの少し神道系が上回っていますが、それでも、神道系と仏教系で二分されていると言っていいかと思います。
ではなぜ、元々神道が根付いていた日本で、仏教がここまで広がりを見せたのでしょうか。
神仏習合への道のり
神道は先にも挙げた通り、開祖もいなければ教祖もいない、いわば日本人の生活から自然発生的に生まれた宗教でした。
一方で、仏教は開祖もおり、教典もあり、きちんと体系化されていた訳です。
性質が全く異なっていたからこそ、仏教は日本に馴染む事が出来、また反対に神道は仏教に飲み込まれる事もなかったのではないでしょうか。
神道はすでに体系化されている仏教を参考に、教義の体系化などを進めていきました。
この時、教義の体系化を助けたのは、実は仏教の僧侶たちです。
僧侶たちは、仏教と神道が融合出来るように、教義の形成をすすめていきました。
また、神道の生活神などは、現世での人々の暮らしに寄り添っていたり、人生の過程に深く関わって来たのに対し、仏教は悟りをひらき、輪廻転生から解脱すれば極楽浄土へ行けるなど、人の死後に深く関わるものです。
このため、現代でも私達は何の疑問を抱くことなく、お宮参りや七五三は神社で執り行い、葬儀は仏式で行います。
おそらくこういった違いも、仏教が神道と争うことなく、むしろ神道と融合し日本で根付いていける理由になったのではないでしょうか。
これらにより仏教は伝来から江戸時代まで、千年あまりかけて、ゆっくりと神道と調和し、日本に根付くことになりました。
これを【神仏習合】と言います。
神仏分離から現代
しかし、こうした神道と仏教の関係を断絶する事件が起こります。
それは、明治政府が明治1年に出した【神仏分離令】です。
当時政府は新しい国には新しい宗教が必要だと考えました。
一部では、西洋と同様にキリスト教を国教としようという意見も出たようですが、結局、明治新政府は、神道を国教とすることにしました。
そのため手始めに、神道と仏教を分離させようと考えたのです。
しかし、これが政府の意図を超えて大きな広がりを見せました。
民衆の間に仏教を排斥し、さらに寺院や仏像、仏具などを破壊する【廃仏毀釈】運動が起こったのです。
この廃仏毀釈運動の根底には、利権に浸る仏教界に対する批判や不満があったと見られます。
日本政府は、この廃仏毀釈運動を受けて、神仏分離令は廃仏毀釈を意味しないと再三発表をしたため、この運動も数年で収束に向かいます。
しかし、この間多くの貴重な仏像や仏具が壊されてしまいました。
また、神道を国教とするには、当時の神道関係者のみでは宣教が困難な状況でもありました。
そこで結局仏教の力を借り、神仏共同であらためて神道を国教にすべく布教を始めようとした訳です。
しかし、神道を国教とする事は、諸外国から批判されたので、最終的には信教の自由が認められ、現在にいたります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
神道と仏教の違いや関係性は分かりましたか?
世界的にも2つの宗教が融合した例は極めて珍しいです。
そのため日本人として、お宮参りは神社へ行き、葬式は仏式で行う理由を外国人に説明出来るといいですね♪
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