宗教の世界には様々な修行が存在し、中でも過酷さを極めるものは「荒行」と呼ばれています。
そんな厳しい荒行の中でも、特に過酷さを極めるもの3つが世界三大荒行です。
その内容は常人では、耐えられないようなものばかり。
この世界三大荒行について、そのヤバさに注目してみたいと思います。
世界三大荒行とは
世界三大荒行は、以下の3つです。
世界三大荒行
- 日蓮宗 百日大荒行
- 天台宗 千日回峰行
- インドのヨーガ
これらの修行は、世界的に見ても、イカレている非常に厳しい修業で有名です。
しかし、3つのうち、2つが日本の宗教とは恐れ入りますよね。。。
日蓮宗 百日大荒行
百日大荒行
- 宗派:日蓮宗
- 期間:100日間
- 内容:寒中での水行/食事制限/睡眠制限など
これを見るだけで、空恐ろしいですね。。。
詳しく見ていきましょう。
死者も!?秋~真冬に行われる壮絶な荒行
百日大荒行は、毎年11月1日から翌年2月10日まで、100日間かけて行われています。
全国から集まった僧侶が日蓮宗大本山中山法華経寺大荒行堂に入ると…
修行が終わるまで僧侶たちは外へ出ることはできません。
さらに最初の35日間は、面会謝絶で外部との接触はできず、35日以降は5分間のみ家族などと面会できます。
わずか1ヶ月程度の間に僧侶は皆、髪や髭が伸び、頬は痩せこけ、青白い顔色に変わってしまいます。
家族もその変貌ぶりに皆驚きを隠せません。
詳しくは後述しますが、厳しい水行があるにもかかわらず、行われる期間は秋から真冬にかけて。
死者がでることさえある過酷な内容です。
そら、寒い中で冷水を浴びれば当然ですよね。。。
あまりメディアでは取り上げられることはありませんが、平成に入ってからでさえ、平成10,12,18年に死者が出ています。
荒行の生活と内容
大荒行堂内での生活は、次のような内容になっています。
修行中の生活
- 午前3時から午後11時まで、計7回の寒水による水行
(修行期間は11月~2月) - 一日の食事は朝夕の2回。梅干しとお粥
- 一日の睡眠時間は2時間
- それ以外の時間はひたすら読経
この荒行で最も過酷なのは、寒水による水行でしょう。
時期は真冬、ただでさえ寒い時期にふんどし姿で寒水を浴びることを想像するだけで、鳥肌が立ちます。
寒水による水行で僧侶たちの皮膚はあかぎれ、血が滲み出てくるそうです。
ちなみにこの百日大荒行に参加する僧侶は、髭剃り用のカミソリを持ち込むことを禁止されています。
その理由は「髭を剃る暇すらない」と言われてはいますが…
一説には「荒行を苦にした自殺を防止するため」という噂もあるほどです。
過酷な荒行ではあるものの…
そんな百日大荒行でさえかわいく見えてしまうのが、次に紹介する天台宗の千日回峰行です。
天台宗 千日回峰行
注意ポイント
宗派:天台宗
期間:7年間
挑戦者が選べる道は「満行」か「死」か
この千日回峰行は、かなり過酷な荒行であり、死者が出ることもあります。
また一度始めたら決して失敗は許されません。
万が一にでもリタイアする場合は…
死をもって償わなくてはならないという教えがあるほどです。
そのため行者は自害用の紐と短刀、そして埋葬料10万円を持って千日回峰行に挑みます。
さすがに、実際に自害した人の記録は残っていないようですが、挑戦者は皆、死を覚悟の上、臨んでいるようです。
ちなみに満行者(成功者)は戦後14人しかいません。
しかし、そのうちの1人、酒井 雄哉(さかいゆうさい)さんは、なんと2度も成功させるという偉業を遂げています。
1979年のNHKで、最初の行の様子が放送されました。
すでにご逝去されていますが、数々の著書を残していますので、ご興味のある方は手に取ってみてもよいかもしれません。
千日回峰業の期間
天台宗の千日回峰行は、7年間もの長期にわたり行われます。
しかし、7年間毎日というわけではありません。
最初の3年間(1~3年目)は年100日、次の2年間(4~5年目)は年200日、6年目は年100日、最後の7年目は年200日を荒行に費やします。
これらを合計すると1000日になるため、「千日」回峰行と呼ばれています。
荒行の生活と内容
回峰行とは、礼拝して回ることを意味します。
最初の5年間の700日は、1日あたり約30kmもの道のりを歩きます。
とんでもない距離ですよね。。。
そして、700日を終えると、「堂入り」と呼ばれる最も過酷な行を行います。
9日間飲まず、食わず、眠らず、横にもならず、真言をただひたすら唱え、その回数は10万回に及ぶのです。
堂入りの生存率は50%とも言われていて、堂入り前には「生き葬式」をあげることからも、その過酷さが伝わってきます。
ちなみに人が飲まず食わずで、生存できる日数は10日程度と言われています。
堂入りは眠ることもできないことを考えると、人間の極限を超えた行であることがわかります。
堂入り満行後は衆民のために回峰行
過酷な堂入りを終えると「阿闍梨(あじゃり)」と呼ばれ、再び回峰行を行います。
しかし、ここからは自分のためではなく、衆生を救うための回峰行なのです。
残りの2年間はひたすら回峰行に費やされます。
最初の5年間は約30kmの道程でしたが、残りの2年間は倍の60kmを1日で踏破するのです。
回峰行で踏破する総距離は?
こうして千日回峰行を終えた満行者は「北嶺大行満大阿闍梨(ほくれいだいぎょうまんだいあじゃり)」と呼ばれます。
千日回峰行で踏破する距離は約4万kmです。
地球1周分の距離です。
一日あたりの平均距離は約40kmとなるので、フルマラソンの距離を1000回歩いているようなものです。
まさに荒行と呼べるものでしょう。
インドのヨーガ
ヨーガと日本の関係
『ヨーガ』とは日本ではフィットネスとして有名な『ヨガ』のことです。
ただ一言に『ヨーガ』と言っても種類は様々あり、荒業と呼ばれるものは日本のフィットネスのものとは異なります。
気になる荒業内容は?
調べてみたものの荒業の詳細な内容は見つからず、唯一見つかったのが、コチラのブログ記事です。
https://www.google.co.jp/amp/sakunew.exblog.jp/amp/6794877/
この記事で紹介されているのは、ヨーガの一例だと思われますが、
- 地面に掘った穴の中に人が入る
- 穴に蓋をし、土をかける
- 3日間そのまま
一見すると3日間飲まず食わずで過ごすだけのようにも見えます。
ですが、実際にはそんなことよりも、酸素の方が大きな問題です。
三畳部屋程の空間というと・・・
深さ3m、床面積5.5m2と仮定して、ざっくり計算してみると、1日で酸素濃度は18%を切って酸素欠乏症になってしまいます。
2日で酸素濃度は16%を下回り一呼吸するだけで、脳機能に何らかの障害が生じます。
意識朦朧ですね。
即窒息死とまでは行きませんが、ゆっくりゆっくりと時間をかけて首を絞められるように息苦しくなっていくことを想像すると、その過酷さは想像を絶します。
日本の宗教とヨーガの関係
日本の宗教の中にもヨーガを取り入れている団体はあります。
その一つが【オウム真理教】です。
今の若い人は名前を聞いたことぐらいしかないと思いますが、『地下鉄サリン事件』を機に世間を騒がせ、日本を震撼させた宗教団体です。
多くの人がこの事件をきっかけに、新興宗教に対して『危険意識』を抱くようになったのではないかと思います。
このオウム真理教が取り入れていたのがヨーガです。
オウム真理教の事件もあって、ヨーガに対するマイナスイメージがついてしまいました。
日本でのヨーガは一時下火となりましたが、2000年に入ってからの健康ブームのおかげで、『ヨガ』がフィットネスの一つとして受け入れられるようになりました。
まとめ
世界三大荒業に共通しているのは、【命を落としてもおかしくない】ということです。
実際、過去には死者も出ています。
なぜそこまでして自分を追い込むのか?
それは、生死の狭間に自分の身を置くことで、『生きることの尊さ』を身を以て体感し、生への感謝を深めるためではないでしょうか。
ちなみに私は修行僧ではありませんが、私的三大荒行があります。
それは・・・
『仕事、二日酔い、嫁の不機嫌』
、、、私の場合、この荒行を通して『生きることの尊さ』ではなく『生きることの苦しさ』を、身を以て体感しています(苦笑)