仏教知識として、うろ覚えになりやすいのが…
お経と念仏とお題目です。
人によっては「え!?同じじゃないの!?」という方も多いでしょう。
読み上げるものとしては同じですが、その意味合いは全くもって異なるものです。
これらの違いについて詳しく解説していきましょう。
お経と念仏とお題目の違い
お経 | 念仏 | お題目 | |
意味 | 仏の教え | 仏に対する誓い/願い | 経典の名前 |
宗派 | 全ての宗派 | 浄土宗/浄土真宗など | 日蓮宗/創価学会など |
内容 | 多種多様 | 南無阿弥陀仏 | 南無妙法蓮華経 |
このような図式となります。
読み上げることこそ共通ですが、全く異なることが分かりますね。
詳しく見ていきましょう。
お経とは
お経とは「仏の教え」をまとめたもののことです。
インドで発祥し、中国から日本へやってきた仏教は、その過程で実に多くの経典を生み出しました。
いわば、伝言ゲームのようなものです。
解釈の仕方によっても内容が異なってきますし、実に多種多様な発生をしているわけですね。
その数は八万四千と例えられることまであります。
実数は誰も把握できていないのです。
聖書に例えて考えてみても良いでしょう。
旧約聖書に新約聖書、または同じ新約聖書を信仰するものの、解釈の違いによって教派がわかれる各種教派と同じですね。
もしくは同じく聖書を信仰対象としているものの、根本的に解釈の異なるエホバの証人のような存在もあります。
仏教の場合、大元となる聖書に該当するお経が八万四千もあるのですから、解釈の違いや宗派が大量に生まれるのも納得でしょう。
逆説的に、多様な宗派が生まれたから、それぞれに適合した大量のお経が生まれたとも言えますけどね。
また、宗派によって共通するお経もありますが、信仰、使用するお経は異なります。
お経一例
- 般若心経
- 法華経
- 阿弥陀仏経
- 妙法蓮華経
葬式などでお坊さんが長々と唱えているのが、このお経なのです。
当然、葬儀を取り仕切るお坊さんの宗派によって異なりますが、一般の人がその違いを聞き分けるのは難しいでしょう。
もし「なんとなく聞いたことがあるな」という時は、家の宗派と同じなのかもしれませんね。
念仏とは
念仏とは「仏を念じること」という意味です。
広義的な意味の念仏は様々な宗派でも用いられますが、一般的に念仏というと、浄土宗や浄土真宗の念仏を指します。
みなさん、ご存知の「南無阿弥陀仏(なむあみだぶつ)」がそうです。
濁したりなまったりして「なんまいだ」などと表現されることもありますね。
※読み方は宗派や地域によってもまちまちです。
読み方例
- なむあみだぶつ
- なもあみだぶつ
- なんまんだぶ
- なむあみだぶ
浄土宗や浄土真宗などの浄土系宗派の特徴が「専修念仏(せんじゅねんぶつ)」です。
極楽浄土へと往生する為に、ひたすら念仏を唱える/念じることを旨としています。
「南無阿弥陀仏」の意味は「南無=帰依する」「阿弥陀仏=仏様の名称」となり、「阿弥陀仏さまに帰依します=仏様のことを信じています」という意味になります。
つまり浄土系の宗派の念仏とは「仏様のことを信じていますので、どうかお救い下さい」と唱える/念じることなのです。
これは浄土系の宗派の教義が「極楽往生するために必要なことは厳しい修行ではなく、仏に対する信仰心こそが重要」というものであるため。
仏に対する信仰心を「南無阿弥陀仏」という言葉に込め、仏に対して誓いを立てているとも言えます。
お題目とは
念仏と間違えやすいのが「お題目(おだいもく)」です。
日蓮・法華系、創価学会などで使われる「南無妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう)」ですね。
宗派によって唱え方は異なりますが、ひたすらに繰り返し読み上げる様は、まさに念仏と同じく見えるものです。
唱える言葉自体が似ていることもあり混同しがちですが、両者は異なっています。
念仏が「仏の名称」を唱えるのに対して、お題目では「経典の名称」を唱えているのです。
お経とは長い文章で、僧侶でもなければ唱えることは難しいものです。
対してお題目は「経典の名称を唱えることで、簡易的にお経を唱えている」という意味があります。
手軽に、と言ったら失礼ですが、在家信者でも理解しやすく、簡単に唱えられて功徳を得られるという役割を果たしているのですね。
お題目は念仏と同じように、短いフレーズを唱えることで功徳と救いを得るという役割があるのです。
しかし、意味合いとしては、お経に近いものであるということが分かります。
まとめ
お経 | 念仏 | お題目 | |
意味 | 仏の教え | 仏に対する誓い/願い | 経典の名前 |
宗派 | 全ての宗派 | 浄土宗/浄土真宗など | 日蓮宗/創価学会など |
内容 | 多種多様 | 南無阿弥陀仏 | 南無妙法蓮華経 |
それぞれ、熱心な信者でもないと非常にややこしい話かと思います。
とりあえず覚えやすいのは、南無阿弥陀仏なら念仏、南無妙法蓮華経はお題目、といったところでしょうか。
でも、お題目である南無妙法蓮華経は、妙法蓮華経というお経のことなので…
やっぱりややこしいですね(笑)