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浄土宗の宗派とは|西山派と鎮西派の成り立ちや教義の違いはどこに?

浄土宗 とは 宗派

仏教13宗のひとつ、浄土宗。

この浄土宗には、大きなふたつの宗派が存在しています。

それが鎮西派と西山派です。

両者の関係や違いを詳しくまとめました。

 

 

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浄土宗とは

概要

  • 開祖:法然(ほうねん)
  • 総本山:知恩院/京都
  • 本尊:阿弥陀如来

浄土宗とは、法然上人が日本で開いた鎌倉仏教宗派の1つです。

その教えは「専修念仏(せんじゅねんぶつ)」と呼ばれるものです。

南無阿弥陀仏」と念仏を唱えることで、極楽往生できるものと言われています。

 

総本山は京都府京都市にある知恩院。

この寺は法然が半生を過ごし、最後を迎えた法然に縁のある場所です。

 

浄土宗が含まれる鎌倉仏教が以下の通り。

鎌倉仏教宗派

この中でも、浄土宗と特に繋がりが深いのが浄土真宗です。

浄土真宗の宗祖とされる親鸞は、法然の弟子の1人だからですね。

親鸞の教えを元に開宗された宗派が浄土真宗なのです。

 

同じ浄土宗でも、さらにいくつかの派に分かれています。

その中で2大勢力が「鎮西派(ちんぜいは)」と「西山派(せいざんは)」になります。

 

浄土宗の歴史

鎮西派と西山派について説明する前に、浄土宗の歴史について簡単に説明します。

宗祖である法然の弟子の中で、浄土宗の歴史に関わりが深い弟子が7人います。

法然が入滅後、浄土宗を引き継いだのは長老であった「信空」という弟子でした。

 

一方、他の人6人はというと、法然の教えを学びつつも互いに解釈が少し異なっていました。

そして信空が入滅後、6人は別々の道を歩み始めます。

法然の弟子

  • 証空・・・後の西山派
  • 弁長・・・後の鎮西派
  • 長西・・・九品寺派→後に消滅
  • 隆寛・・・長楽寺派→後に消滅
  • 幸西・・・独自の教団→後に消滅
  • 親鸞・・・後の浄土真宗

証空/弁長/長西/隆寛の流派は「浄土四流」と呼ばれています。

この浄土四流の中で、現在まで流れを引き継いでいるのは証空と弁長の教えの流れのみです。

すなわち西山派と鎮西派です。

嘉禄の法難

少し話は逸れますが、浄土宗の歴史を語る上で欠かせない一つの事件に「嘉禄の法難(かろくのほうなん)」があります。

法然の死の十数年後、浄土系仏教(念仏教団)への弾圧が起こりました。

この際、法然の遺体を鴨川に捨てられてしまう危険が迫ったのです。

弟子達は法然の遺体を、知恩院から運び出して危険を回避しました。

これを「嘉禄の法難」と呼んでいます。

 

法然の命日である1月24日には、毎年「嘉禄の法難念仏行脚」という行事が行われ、浄土系の団体が宗派の垣根を越えて法然を偲んでいます。

この時ばかりは鎮西派も西山派も関係ないのです。

念仏行脚は京都冬の風物詩の一つにもなっていますので、興味のある方は見に行ってみるのも面白いでしょう。

 

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鎮西派と西山派の違い

鎮西派 西山派
宗教法人浄土宗 含まれる 含まれない
教義 二類各生説 一類往生説

大きな違いは上記の通りです。

詳しく解説していきます。

宗教法人浄土宗に西山派は含まれない

浄土宗の2大勢力の鎮西派と西山派。

しかし、現在「浄土宗」と呼ぶと、多くの場合は鎮西派のことを指すのです。

西山派は浄土宗とは別の宗派なのです。

つまり、同じ「浄土」の文字が入ってはいるものの、宗教法人浄土宗に西山派は含まれないということです。

 

法然が開いた浄土宗に端を発することは、両派ともに同じです。

しかし開宗以降、法然が開いた浄土宗は、長い歴史の中で分派統合を繰り返していきます。

いくつにも分かれた宗派を、鎮西派を中心にまとめたのが現在の「宗教法人浄土宗」なのです。

この統合された「宗教法人浄土宗」に西山派は含まれなかったのです。

鎮西派と西山派の教義の違い

両者の大きな違いの一つが教義です。

鎮西派は「二類各生説」を、西山派は「一類往生説」を説いています。

※二類往生説とする場合もあります。

一類往生説とは

一類往生説とは「念仏を唱えましょう。念仏こそが皆が極楽往生できる唯一の方法です」という思想です。

念仏を唱え、仏を念じることで他力によって往生することを、第一に考えるという浄土宗の基本思想ですね。

簡単に言うと「自力では往生できず、他力(=阿弥陀の力)による往生しか不可能だ」ということです。

二類各生説とは

一方、二類各生説はというと…

「念仏を唱えましょう。念仏は皆が極楽往生できる方法です。ただ善行を働くことも極楽往生するための方法になりますよ」という思想です。

言い換えると「阿弥陀仏による他力往生だけではなく、自分の行い=自力である善行によっても極楽往生が可能」ということです。

 

両者とも「極楽往生」のために、念仏に重きを置いていることは共通しています。

しかし、西山派は「他力のみ」であるのに対し、鎮西派は「他力でも自力(善行)でも」極楽往生の手段になると説いているのです。

この点が鎮西派と西山派の大きな違いと言えます。

西山派の種類|西山三派

鎮西派は様々な流派が統合され、宗教法人浄土宗となりました。

しかし、西山派には統一されていない流派があり、それらは「西山三派」と呼ばれています。

西山三派

  1. 浄土宗西山禅林寺派/本山:禅林寺
  2. 浄土宗西山深草派/本山:誓願寺
  3. 西山浄土宗/本山:光明寺

西山浄土宗は、名称のつけ方からして他の2派と異なり、より「宗教法人浄土宗」とは別物であるという印象が強いですね。

これらの総本山は全て京都にあります。

浄土宗の総本山、知恩院も京都にあります。

なんともなんとも…

ご近所さん同士でバチバチしているみたいで、面白いものですね。

 

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まとめ

浄土宗は鎮西派と西山派に分けることができます。

現代の宗教法人浄土宗は主に鎮西派から構成されていて、西山派は宗教法人浄土宗ではありません。

両者の違いは極楽往生の手段が「善行での往生(自力での往生)を認めるか否か」というところにあります。

 

ただし、極楽往生の手段になるならない関係なしに、善行はするべきことです。

この点は、西山派も推奨している部分です。

「西山派は善行をしない派閥だ!」などと、あらぬ誤解は抱きませぬよう(笑)

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