飛鳥時代に伝来した仏教は、奈良時代に確固たる地位を築きあげ、平安時代に「日本仏教の母」とも呼べる天台宗が登場しました。
そして平安時代の次、鎌倉時代にも新たな宗派が数多く登場し、鎌倉仏教と呼ばれるに至りました。
この鎌倉仏教(=新仏教)は、それまでの仏教(=旧仏教)と違う特徴を持っていて、これにより仏教は爆発的に普及することとなりました。
鎌倉仏教について、詳しく解説していきます。
鎌倉仏教(新仏教)とは
鎌倉仏教は文字通り、鎌倉時代に誕生した仏教宗派のことを指します。
「新仏教」、もしくは重ねて「鎌倉新仏教」とする場合もあります。
それらの開祖は、全てが天台宗の総本山、比叡山延暦寺で仏法を学んだ経歴を持ちます。
※時宗の一遍のみ、法然の孫弟子の下で浄土宗を学んでから。
天台宗が日本仏教の母と呼ばれる所以ですね。
鎌倉仏教6宗(新仏教6宗)とは
鎌倉時代に誕生した6宗派を、鎌倉仏教6宗(新仏教6宗)と呼びます。
鎌倉仏教6宗
語呂合わせと覚え方
せっかくなので覚え方として語呂合わせもあります。
「情報知らん、日蓮!1時にエリの同窓会」
語呂合わせ
- 情法(浄土宗:法然)
- 知らん(親鸞:浄土真宗)
- 日蓮!(日蓮宗:日蓮)
- 1時(一遍:時宗)
- エリ(栄西:臨済宗)
- 同窓会(道元:曹洞宗)
この手のゴロ合わせは、文章自体は意味不明ですが、何だか語呂が良く覚えてしまいますよね(笑)
旧仏教とは
一方、鎌倉仏教以前に誕生した奈良仏教や平安仏教は「旧仏教」と呼ばれるようになりました。
奈良仏教
- 法相宗:開祖 道昭/本山 興福寺、薬師寺
- 華厳宗:開祖 審祥/本山 東大寺
- 律宗 :開祖 鑑真/本山 唐招提寺
- 三論宗:衰退
- 成実宗:衰退
- 倶舎宗:衰退
新旧仏教の違い
新旧の間では非常に大きな違いがあります。
それは旧仏教が厳しい戒律や学問を必要とし、僧侶になることが重要であったことに対し…
鎌倉仏教の多くは「信仰心に重点を置いていた」ことにあります。
これは僧侶以外の一般民衆でも「厳しい修行なく仏の加護を受けられる」と説いたことが大きな特徴です。
その為、鎌倉仏教は多くの一般民衆に受け入れられ、仏教が大衆化しました。
鎌倉仏教の宗派は、現代でも馴染み深いものが多いでしょう。
そのことからも、大衆に向けた宗派であることが分かります。
暴走する仏教
鎌倉仏教は、例えば浄土系なら「念仏を唱えれば極楽往生できる」といった理解のしやすさがあります。
その手軽さから多くの民衆に受け入れられ、日本全土に広がることとなります。
しかし一方で、共通の思想を持った民衆が宗派の名の下で団結し、大名などの施政者に反乱を起こすこともありました。
それは当時「一向宗」とも呼ばれていた浄土真宗です。
この一向宗が起こした反乱は「一向一揆」と呼ばれ、全国各地で起こり、多くの大名たちにおそれられることとなります。
奈良仏教で集中し過ぎた寺院の権力を分散させるために平安仏教が始まりました。
その平安仏教が元となった鎌倉仏教で民衆が団結し、再び仏教が大きな力をつけてしまったということです。
何だか皮肉な感じもしますね。
鎌倉仏教以降の仏教
鎌倉仏教で大衆化した仏教は、その後も色々と発展、分派、統合を遂げます。
しかし、日本の仏教史の中で奈良・平安・鎌倉時代が最も仏教の発展を遂げた時代と言えます。
近代に入ってから発足した宗派は「新興宗教」と呼ばれることが多いものです。
最もメジャーなもので言えば創価学会も仏教系の新興宗教です。
しかし新興宗教はどれも歴史が浅いため、教科書に載るのは、もう少し先のことでしょう。
まとめ
日本仏教三部作の最後の鎌倉仏教は、厳しい修行など必要なく「大衆にも受け入れられやすい」ということが大きな特徴です。
信者数や寺院数から見ても、鎌倉仏教、特に浄土真宗が圧倒的です。
ただし、厳しい修行が必要ないのは一般信者だけの話。
鎌倉仏教の一つである日蓮宗の僧侶は、シャレにならないくらい厳しい修行を行っています。
その厳しさは「世界三大荒行」の一つに数えられるほどです。。。