宗派

天台宗とは|真言宗との違いと特徴を簡単に解説!同じ密教でも大きく異なる教え

天台宗 とは 真言宗 違い

平安時代に栄えた仏教のことを「平安仏教」と呼びます。

そして、ここで言う平安仏教は「天台宗」と「真言宗」を指すことが多いです。

両者は同時期に日本に伝えられ、天台宗は「最澄」、真言宗は「空海」が日本での宗祖とされています。

今回はその平安仏教の中でも、天台宗について詳しく解説していきます。

 

スポンサーリンク

 

 

天台宗と真言宗が同時期に登場した理由

天台宗と真言宗は、同時期に日本に伝えられました。

これには当時の時代背景が大きく関係しているのです。

 

それまでの日本にも仏教はあり、それらは奈良時代に始まった仏教のため「奈良仏教」と呼ばれています。

特に栄えていた6宗派を、今では「南都六宗」と呼んでいます。

 

奈良時代に始まった南都六宗。

布教が進むと同時にじわじわと権力を持ち出していました。

当時の都は平城京でした。

奈良仏教と都の繋がりも強く、政治と宗教が深く関係していた時代です。

 

しかし、そうなると困るのが当時の権力者です。

僧が政治に関与し、一時は仏教の僧を天皇に祀り上げようという動きもありました。

流石にそれはまずいということで、その対策として権力者たちは「2つの行動」に出ました。

ポイント

  1. 奈良から京都への遷都
  2. 天台宗と真言宗の布教

1つ目は都を奈良(平城京)から京都(仏教)へ移すことで、物理的に政治と宗教を引き離したこと。

そして2つ目が、天台宗と真言宗の布教です。

「目には目を、歯には歯を、仏教には仏教を」という具合に、これまでとは違った宗派を広めることで、特定宗派に権力が集中することを避けようと考えました。

 

最澄と空海はこういった時代背景もあり、中国に仏教を学びに行ったのです。

日本に帰国後、天台宗と真言宗の教えを布教していくこととなりました。

 

天台宗の特徴とは

概要

  • 宗祖:最澄
  • 総本山:比叡山延暦寺/滋賀県

天台宗は、真言宗と同じく密教系の宗派です。

密教とは、読んで字のごとく、秘密の教えということ。

経典などで広く教えを広めるのではなく、概念的な儀式や法具によって教えを伝授し、それは授かったもの以外に教えてはならないという決まりがあるものです。

 

ただし、天台宗の大きな特徴は、密教だけではなく、禅や念仏、戒律など、他の多くの仏教の基盤思想を取り入れた「総合仏教」という点にあります。

要は、密教もやるし、反対に信者へ広く教えを広める顕教も行うということです。

天台宗における密教は、あくまで多くの教えのひとつと言っても良いかもしれません。

天台宗の密教は「台密」、真言宗の密教は「東密」とそれぞれ呼ばれています。

(天“台”宗の密教で台密/空海が東寺を道場としたことから東密)

天台宗の教義

天台宗の経典は「妙法蓮華経(法華経)」です。

天台宗の教えの根幹は、この法華経に由来しています。

 

天台宗の教えは「全ての人が悟りを開き成仏することができる」というもの。

また、悟りに至る方法も禅や念仏や厳しい修行だけではありません。

茶道や華道、絵画や彫刻などの創作活動まで様々あり、物事に対して真摯に取り組み真実を探し求める心こそが、悟りに至る方法と言われています。

つまり天台宗の教えは、形にとらわれなくても、悟りに至る方法は日常生活の中に溢れているということです。

 

スポンサーリンク

 

日本仏教の母とも言える天台宗

総本山、延暦寺は比叡山にあります。

この比叡山は、多くの人が仏教を学ぶ「仏教の最高学府」とも言われた場所です。

言わば「仏教界の東大」とも言える場所でした。

 

比叡山では様々な僧が修行し、仏教を学びました。

比叡山では後の宗祖となる人物すべてが学び、また彼らは皆、天台教学(天台宗の教え)を学んでいます。

それぞれ違う宗派と言えど、天台宗の教えが他の宗派に多大な影響を与えていることがわかるでしょう。

天台宗は、日本仏教の母とも言える宗派なのです。

このように多くの宗祖を輩出できたのは、密教単一の教えではなかったから。

禅、念仏、戒律などの様々な基本思想を広く取り入れた総合仏教であったことに由来しているのです。

 

真言宗と天台宗の違い

簡単にまとめると以下の通りです。

天台宗 真言宗
本尊 釈迦如来/阿弥陀如来 大日如来
密教の名前 台密 東密
思想 他宗派も包括した内容 真言宗こそ最上
教え 密教だけではなく様々 密教のみ

詳しく見てみましょう。

ご本尊の違い

真言宗との違いは、まず「ご本尊」が異なります。

真言宗は「大日如来」を本尊とし、天台宗では「釈迦如来」を本尊としています。

また、天台宗では釈迦如来だけではなく、阿弥陀如来とする場合もあります。

様々な経典を取り入れている天台宗は、寺によって祀る仏が異なることもよく見られます。

 

この「本尊」とは、信仰の対象を意味するものです。

大乗仏教では様々な仏が存在し、宗派によって何を信仰の対象とするかが異なります。

仏教の経典の一つである「阿弥陀経」には、ガンジス川の砂粒の数ぐらい沢山の仏が存在していると言われているほどです。

「真言宗と天台宗では信仰の対象が違う」ということです。

他宗派に対する考え方の違い

他宗派に対する考え方も異なります。

真言宗の空海は、それまでの他宗派に関して一定の評価をしつつも・・・

「最上は真言宗である」としています。

 

一方、天台宗は「その他宗派も包括した宗派」という考えを持っています。

つまり天台宗の教えの一部を発展させたのが、その他諸宗派であり、天台宗は他の仏教の教え全てを包括した、総合仏教であるということです。

 

スポンサーリンク

 

まとめ

天台宗と真言宗は同じ密教系の宗派で、同時期に日本で布教が始まりました。

同じ密教系と言っても、その思想は全く異なることが見て取れますね。

-宗派
-, , ,