家族や親族の急な訃報と、それに伴う心労は、はっきり言って想像以上ですよね。
- 菩提寺への連絡
- 葬儀社と打ち合わせ
- 行政や関係各所への連絡
- etc
遺族が悲しみに暮れる暇も与えてくれません。
死は予測ができないことだから、準備ができていないのは当然のこと。
実際、お墓や仏壇をそろえていないご家庭もたくさんあり、49日法要の打ち合わせで詳しく菩提寺や霊園から尋ねられると…
- 「あっ…そういえばお仏壇がないけどどうすればいいの?」
- 「49日に仏壇がないとどんなことが起きる?今から買っても間に合わないよ」
…とパニックになる方もいらっしゃるでしょう。
今回の記事はそんな方のためにまとめました。
仏壇はすぐには不要
一般的には「仏壇がない家庭は、故人の49日忌法要までに用意すべき」と言われています。
しかし結論を先に述べますと…仏壇はすぐには必要ありません。
というのも、そもそも49日まで仏壇を必ず用意するという決まりはないからです。
49日忌法要と流れ
亡くなった日を1日目として49日までを中陰(ちゅういん)と呼びます。
七日ごとにあの世の裁判官である十王(じゅうおう)に裁かれたうえで、死者の魂の行き先が極楽か・地獄かが決められるのです。
とくに49日目は閻魔大王に最後の審判が下される大事な日です。
この日にしっかりと法要を開き、仏様に弁護をしてもらい、故人の魂の極楽往生を願います。
49日忌法要の流れ
- 49日忌にお寺または葬祭場で法要を開く
- 白木の仮位牌(かりいはい)から本位牌(ほんいはい)に故人の魂を移してもらう
- 新しい仏壇に祀る本尊に「お魂入れ(=仏壇開眼)」をする
- 遺骨をお墓もしくは納骨堂・永代供養墓などに納骨する
3番目は、仏壇がない場合は省略しても問題はありません。
用意ができた後にあらためて僧侶に修法してもらいます。
ここで言う仮位牌とは白木で作られた位牌のこと。
この49日法要で故人は「成仏した」とみなされて、位牌を漆などで塗られた本位牌にあらため、魂が移されます。
その本位牌を家庭のなかで祀る場所が仏壇です。
※浄土真宗では位牌は用いず、代わりに先祖代々の名前が書かれた過去帳を持ち込みます。
繰り返しになりますが、絶対に49日忌法要までに仏壇を用意しておくべき!という決まりはありません。
「急な訃報でやるべきことが山積みで手が回らない」だとか、「心の整理がつかなくて、とても選ぶ気力がない」などで、仏壇の用意を後にしても良いのです。
通夜・葬儀から49日、そして納骨までにはとてつもない労力が必要ですからね。
※仏壇ですらこうですから、お墓なんてさらに難しい話です。用意できなくても大丈夫です。
仏壇がない時のデメリット
ただし、49日までに仏壇がない時のデメリットがあります。
デメリット
- 法要の回数が増える
- 自宅で法要や冥福を祈る場所がない
- 遺骨や位牌の祀り場所に困る
以上の点には注意が必要です。
1.法要の回数が増える
新しい仏壇は「仏壇開眼(ぶつだんかいげん)」の法要をお坊さんに行なってもらう必要があります。
仏壇開眼とは宗派によっては「お魂入れ(おたましいいれ)」とも呼ばれます。
仏壇に祀る本尊の仏像に魂を込めて眼を開かせ、仏そのものにする儀式のことになります。
お寺や葬祭場で49日法要を開く際、本位牌とともに、宗派で決められた本尊の仏像を持ち込んで魂をいれてもらうのが通例となっています。
間に合わない場合、後日お寺であらためて法要を開いてもらう、もしくは僧侶を招いて自宅で修法してもらう必要が出てきてしまいます。
49日を過ぎても仏壇開眼はできるものの・・・
法事が一回増えてしまうことになるのです。
菩提寺の住職や、お坊さんの手配をもう一度やるのは煩雑ですよね。
だから「49日前に仏壇を用意しておくと楽だ」と言われるのです。
親族や近親者を呼ぶほどの法事ではありません。
ですが、時間と手間、住職・僧侶へのお布施・交通費などを考えると・・・
「早く仏壇を用意して49日法要で一気に開眼まで済ませたい!」という気持ちもわかります。
どうしても…の時は49日に「本尊だけ」を用意する手もあります。
しかし後で購入する仏壇に入らない・合わない危険があります。
また菩提寺の住職によっては嫌がられることもあるので注意が必要です。
2.自宅で法要や冥福を祈る場所がない
寺院・霊園や各家庭の事情によっては、49日の法要を自宅で執り行う場合もあります。
このような中陰棚(ちゅういんだな)は葬祭場から借りている場合が多いので、49日の法要自体は行うことができます。
しかしこの中陰棚の貸し出しは49日までであることがほとんどです。
※葬祭場によっては仏壇が用意できるまで延長してくれるところもあります。
毎日線香をたやさずご飯もお供えしていた棚がなくなって、葬式がやっと終わったか…と安堵はするものの…
ずっと一緒だった「大切な家族が一人いない」という現実と、これから向き合っていかなければいけません。
仏壇がないとき、この「心で故人の死と向き合う場」がないうえに、本位牌を祀る場所もないという問題が出てきます。
できれば、なるべく早く仏壇を用意したほうが良いでしょう。
3.遺骨や位牌の祀り場所に困る
お墓や納骨堂の手配が間に合っていない場合、
「どこに遺骨を祀るの?」という悩ましい問題が出てきます。
自宅に一時保管するにしても、ふさわしい場所といえば仏壇くらいで…
まさかリビングなどひと気のある所に遺骨を祀るわけにはいきませんよね。
さらに管理方法はとくに気を付けなければなりません。
というのも、遺骨はカビが生えやすく、また骨壺を落として割ってしまった…などという事例もあります。
自宅で管理するのは難点ばかりです。
お寺や霊園によっては一時保管を受け付けており、湿度や温度が管理されている場所もあります。
有料にはなってしまいますが、そちらに遺骨を預けることも考えましょう。
本位牌も遺骨も、自宅では祀る場所に非常に困ります。
しきたりにうるさい親族や近所の方がお参りに来た時、せめて仏壇に遺骨が祀られていれば、ぐちぐちと小言を言われないかもしれませんよ。
ただでさえ悲しいときに、さらに追い打ちをかけられたくないですよね…。
仏壇を選ぶときに気を付けたいこと
49日まで無理に用意する必要はないものの、なるべく早く手に入れておきたい仏壇。
でも「何度も買い替えるものではない」わけですから、なるべく慎重に選びたいですよね。
間違いのない仏壇選びのポイントは、以下の3つ。
ポイント
- 家の中に設置する場所を決めてから、仏壇店で実物を見学する
- 部屋のデザインやインテリアとマッチしている仏壇を選ぶ
- 補償・アフターケアは充実しているか確認する
必ず押さえておきましょう。
まとめ
葬儀からはとてもあわただしい日々が続きます。
49日の後でも大丈夫ですから、とにかく落ち着いて、十分納得のいく大事な仏壇を見つけたいものですね。