あたらしくお仏壇をこしらえたのはいいけれど、マナーや作法がよくわからないから、適当に仏具を扱ってしまう…。
そんなお仏壇セットのなかで、とくに鳴らし方・扱い方がわからないものといえば、お鈴(りん)でしょう。
お鈴はじつはデリケート。
ものにもよりますが、不適切に扱っていると最悪の場合、買い替えなければいけません。
それに、親戚や知人の家に行った時「やり方が分からない」じゃ格好がつかないですよね。
ということで今回は
仏壇の鈴(りん)の鳴らし方|回数は自由でオッケー?
をお送りします。
お仏壇での礼拝とマナー
仏様たちやご先祖様たちが暮らしている浄土と、現世にとどまるわたしたちをつなぐ窓口がお仏壇です。
お仏壇のまえでご先祖様に冥福のお祈りをささげるときに、鈴を鳴らして合図をしましょう。
そう、おりんは合図なのです。
ご仏前でのお祈りは「礼拝(らいはい)」や「勤行(ごんぎょう)」、「おつとめ」などの呼び方があります。
礼拝の流れと、鈴を鳴らすタイミングをみてみましょう。
礼拝のなかで何をするのかというと「朝題目夕念仏(あさだいもくゆうねんぶつ)」という言葉があります。
朝にはお題目(=妙法蓮華経)を唱えて家族の無事を祈るいっぽうで、夕方は念仏(=南無阿弥陀仏)を唱えてご先祖様の冥福を祈りましょう、という決まりごとを意味しています。
毎朝の礼拝
- 朝起きたらまず顔を洗い、お茶やお水、または炊きたてのご飯をお仏壇にお供えします。
- ろうそくに灯をともし、その火で1本から3本、お線香を立てましょう。(火が気になる方はお線香立てのなかで横に倒しておくと安心です)
- 腕に数珠をかけてからお経を読みます。始めるときに1回から2回、鈴を鳴らします。
- お経を複数よむ場合は、1回おわるごとに鈴を鳴らしましょう(礼拝を終える時もおなじく鈴を打ちます)。
- ろうそくの火を消し、二重扉のお仏壇であれば内扉だけ閉めます。
お経は時間があればなるべく読みましょう。
鈴の鳴らし方は宗派によってバラバラですから、こだわるようであれば菩提寺のご住職さまに伺ってみることをおススメします。代表的な例は後述します。
夕方の礼拝
夕方はご先祖様の冥福を祈りましょう。
われわれが読み上げるお経の功徳を、ご先祖様たちのあの世での暮らしに「回し向ける」ことから、回向(えこう)と呼びます。
礼拝の流れは朝とおなじですが、お経のあとに念仏を唱えたり、ご先祖様の戒名(法名)を読み上げたりします。
とくにご先祖様の戒名や没年月日を読み上げると、とても丁寧なおつとめになりますので、お仏壇に一覧表をしたためておくことをおススメしますよ。
(読み上げ方の例)
「…ここに回向(えこう)したてまつる精霊(しょうれい)は、●年●月●日の仏(ほとけ)、俗名●●、法名●●●●●●霊位、追善供養(ついぜんくよう)仏果増進(ぶっかぞうしん)証大菩提(しょうだいぼだい)」
鈴を鳴らす上手なやり方
鈴を鳴らすときは、打ち方に気をつけましょう。
写真の赤丸で示したように、鈴を打つための道具・りん棒(打棒とも呼びます)が損傷します。
上手な打ち方の例
写真のように、やさしく鈴の横側を打ちましょう。
りん棒も損傷しにくくなります。
よくない打ち方の例
写真のようにフチを打つと、りん棒が損傷します。
ものによっては薄い鈴もあり、凹み・歪みの原因になることもあるので絶対にやめましょう。
先にも挙げたこの写真、じつはあるお寺さんの大きなりん棒です。
参拝の方に自由に鈴を叩かせているお寺さんでして…極端な例ではありますが、日々の礼拝でよくない叩き方をすると、このようにボロボロになって買い換えることになります。
ぜひ大事に鳴らしてくださいね。
鈴を鳴らす回数は?
鈴の本来の役割は、
- 打った時の妙音が鳴りひびき、しだいに静まっていく様子をしずかに聞くことで、仏の教えである「諸行無常(ものごとはすべてうつろいゆくこと)」を悟る。
- たくさんのお坊さんがいっせいに読経しても、全員の声の音階がいっしょになるように調律する
- お経のはじまり・おわり・合図をしらせる
ということなので、鈴を鳴らす状況やタイミングが大事であり、回数はあまり重要ではありません。
参考までに諸宗派の回数例を挙げます。
- 真言宗…礼拝の最初に2回。はじめにやさしく、つぎにやや強く打ちます。終わりは3回。
- 天台宗…礼拝の最初に2回で強弱はありません。終わりは3回で音の大きさは小・小・大の順で打ちます。
- 曹洞宗…最初に3回、または鈴の内側を2回(お寺によって違います)。
- 浄土宗と浄土真宗…読経のときのみ使用。お経によっては打ち方があります。
繰り返しますが宗派によってバラバラです。
こだわりたい場合は、菩提寺さんに鈴を鳴らす回数などくわしく手ほどきを受けましょう。
まとめ
ご先祖様に家族の無事を伝え、冥福を祈るお仏壇。
鈴を響かせることは、それぞれのご先祖様を敬い、そして自分自身が日々精進することを示します。
毎日使うものですから、ぜひ大切に、大事に扱いましょう。
道具を大事に扱えば、逆に道具がわたしたちを大事にしてくれます。
道具が長持ちして、ずっとずっと一緒に居てくれるということですね。
おつとめの道具を大事にすることは、ご先祖様を大事に弔うことにもつながります。
大事にされたご先祖様は…あなたを大事にしてくれることでしょう。