日本人にとって、仏教は身近なようであまり知らないことも多いですよね。
特に、お葬式や法事でお坊さんが唱える、お経。
- 一体お経を唱える意味は何なんだろう?
- そもそもお経って何なの?
そういった方も多いかと思います。
そこで今回は、お経とは何なのか、唱える意味や種類についてまとめました。
お経とは
お経の発祥は、インドの経典だと言われています。
それが中国を通って、日本に伝わってきました。
そもそもお経とは、お釈迦様の説かれた教えを、弟子達がまとめた内容のことです。
お釈迦様が亡くなった後、優れた500人の弟子が集まり、釈迦の説法の内容をまとめました。
これを「仏典結集(ぶってんけつじゅう)」といいます。
お経には色々な種類がありますが、多くのお経の冒頭部分は「如是我聞(にょぜがもん)」で始まります。
「如是我聞」とは、お釈迦様の教えを「私はこのようにお聞きしました」という意味なんです。
お経の由来を知れば、「如是我聞」という言葉が多いのも納得できますよね。
お経を唱える意味
では、なぜお葬式や法事ではお経を唱えるのでしょうか?
お経を唱える意味は、以下の2つであると言われています。
ポイント
- 聞いている人の心を落ち着かせる
- 亡くなった人の冥福を祈る
順番に見ていきましょう。
1.聞いている人の心を落ち着かせる
お経というのは、本来は周りで聞いている人たちのために唱えているものです。
元々、お釈迦様が弟子達に説いたものなので、周りで聞いている人たちのためというのは納得できますよね。
お経は、低く、抑揚のない声で読み上げられます。
低い声は、聞いている人に安心感を与える働きがあります。
ですので、家族をはじめとする、残された周囲の人の心を落ち着かせる効果があるのです。
またお経には、人生の目的のようなものが書かれています。
お葬式などでお経を聞くことで、限りある人生の意味や、目的を改めて見つめ直すきっかけにもなりますね。
さらに、お経は唱えるだけで心が安らかになるという効果もあります。
日常生活のストレスなどで心が乱れている時にお経を唱えると、精神の安定を図れるという効果があるのです。
とはいえ・・・
お葬式の最中など「眠くてしかたがない!!」という経験をしたことがある方は多いでしょう。
私もそうです(笑)
もう少し、お経の意味をわかりやすく解説してくれてもいいのに、と思いますよね。
本来は「お釈迦様のありがたい教え」なはずなのに、「眠たくて意味不明な言葉」にしか聞こえないのは残念です。
仏教離れや宗教離れが久しい中、お寺側も伝え方の改善や改革をはかっていただければ嬉しいですね。
2.亡くなった人の冥福を祈る
先述したように、お経を唱える元々の意味は、生きている人に向けたものです。
とはいえ、お葬式や法事でお経を唱えるのは、亡くなった人の冥福を祈るという目的もあります。
仏教では、お経を唱えること自体が功徳(くどく)とされています。
功徳とは、善良な行いをすることで生まれる徳のことです。
お経を唱えることで、亡くなった方に対する徳を生み、その徳が安らかな眠りに繋がるように、という意味があるのです。
これを、廻向(えこう)と言います。
また、死者に語りかけることで死を自覚してもらい、成仏するという説もあります。
お経の種類
お経は、宗派によって内容が異なります。
しかし、お経がどれくらいあるのか、正確な数字はいまだにわかっていません。
それほど途方もない数のお経があるわけです。
現段階でわかっているものでも「八万四千の法門」と呼ぶほど種類があると言われています。
ちなみに、全ての宗派で共通して読まれるお経はないとされています。
多くの宗派で使用されるもっともメジャーな般若心経であっても、浄土真宗では使わないなど、なかなか共通のお経というものは難しいのでしょう。
では、内容別、教義別にお経の種類を見ていきましょう。
内容別
お経の内容から分類すると、3種類にわかれます。
- 律蔵(りつぞう):仏教徒の行動規範や戒律をまとめたもの
- 経蔵(きょうぞう):釈迦の教えをまとめたもの
- 論蔵(ろんぞう):律蔵や経蔵の内容をまとめて注釈をつけたもの
上記の3つを「三蔵」と言います。
ちなみに、「西遊記」登場する三蔵法師は、この三蔵を知り尽くした高僧の敬称とされています。
教義別
お経の教義別の分類も、3種類にわかれます。
- 小乗仏教の「小乗経典」:釈迦が直接弟子に教えを説いたもの(例:阿含経)
- 大乗仏教の「大乗経典」:後世の仏教徒によって後に作られたもの、在家信者へも教えを説くために作られたもの(例:般若心経)
- 密教の「密教経典」:密教の奥義を説いたもの(例:金剛頂経)
在家信者とは、出家せずに仏道に帰依する人のことです。
代表的なお経
お経には、実にたくさんの種類があります。
日本の葬儀や法事で唱えられることの多い代表的なお経は、以下の通りです。
代表的なお経
- 般若心経(はんにゃしんぎょう):天台宗、真言宗、浄土宗、禅宗など
- 法華経(ほけきょう):日蓮宗、天台宗など
- 阿弥陀経(あみだきょう):浄土系の各宗派
- 南妙法蓮華経(なむみょうほうれんげきょう):日蓮宗、天台宗など
- 観音経(かんのんぎょう):臨済宗など
何となく名前を聞いたことのあるお経もあるのではないでしょうか?
お葬式では、故人の宗派に合わせたお経を、お坊さんが唱えることになります。
一方で、聞いている側の宗教も、もちろんそれぞれですよね。
ですが、お葬式では故人を尊重し、様々な教えがあるのだ、と考えるようにするのが良いでしょう。
まとめ
今回は、お経の意味や種類について詳しくまとめました。
どのお経にも、お釈迦様の貴重な教えが詰まっているんですね。
退屈だったお葬式などのお経も、意味のあるものに思えてくるのではないでしょうか?