「天照皇大神宮教」をご存知でしょうか。
何となく、日本神話に登場する、天照大神(あまてらすおおみかみ)に似ていますよね。
しかし実際は別物です。
終戦前後に設立された新興宗教の1つです。
あまり聞き慣れない名前で、どのような宗教か知らない人も多いのではないでしょうか。
今回は、天照皇大神宮教の教えや、どのような宗教団体なのかをまとめました。
天照皇大神宮教とは
はてな
- 開教:1945年
- 教祖:北村サヨ
- 信者数:約48万人
- 本部:山口県熊毛群布施町
「天照皇大神宮教(てんしょうこうたいじんぐうきょう)」は、1945年(昭和20年)に開教されました。
現在の信者数は、国内で約48万人です。
本部は、山口県熊毛郡田布施町にあります。
その他にも、以下の2つの道場があります。
- 山口道場(山口県山口市)
- 東京道場(東京都千代田区)
教祖は、山口県の農婦だった、北村サヨです。
1942年、サヨの自宅の納屋などが放火に遭いました。
そこで犯人捜しのために、祈祷師に勧められ、丑の刻参りと水行の修行を始めました。
すると、1944年に肚(はら)で何者かがサヨに話しかけるようになります。
それがきっかけとなり、サヨの口を使って人々に教えを説き始め、開教に至ります。
ついには、1945年8月12日にサヨに宇宙絶対神(天照皇大神)が降臨したとされています。
2代目教主はサヨの孫娘の北村清和、3代目(現在)教主は清和の娘の北村明和です。
天照皇大神宮教の教え
天照皇大神宮教の教えは、「生書(せいしょ)」に書かれています。
「生書」とは、「人が日々生きる上で指針としての具体的、かつ生きた働きをする書」という意味です。
キリスト教の「聖書」とは読み方が同じですが、関係はないそうです。
天照皇大神宮教では、「六魂清浄」が大事とされています。
「六魂」とは、以下の6つの魂のことです。
六魂とは
- 惜しい
- 欲しい
- 憎い
- かわいい
- 好いた
- 好かれた
これらを清浄にして、反省しては懺悔することが大切であるという教えです。
見ても、聞いても、不清浄な邪念を起こさないレベルまで魂を磨くことが大切なのだそうです。
ちなみに、仏教では「六根清浄」を説いており、似ていますが別物です。
そして、上記の「六魂」を清浄するために、「名妙法連結経(なみょうほうれんけっきょう)」を唱え、祈ります。
信者は、この祈りを約10分間、朝晩唱えています。
これを唱えつつ、無我の舞という踊りをするので、「踊る宗教」とも呼ばれています。
これがまた、仏教の「南無妙法蓮華経」と似ていますよね。
踊念仏というものも仏教には存在します。
(こちらは南無妙法蓮華経のお題目ではなく、念仏である南無阿弥陀仏になりますが)
しかし、まったく関係がなく、真似たりもじったりしたものではないのだそうです。
どこか・・・
色々な宗教のエッセンスを混ぜたような印象を受けますね。
天照皇大神宮教は、タダで教えを受けて、タダで伝道すべきである、と規定しています。
しかし実際には、本部や道場の維持には費用がかかってしまいますよね。
そこで、信者はそれぞれの自由意志で「拠金」を出資しており、強制されることはないそうです。
また教団活動を生業(なりわい)とすることを禁止しており、信者は他に本業を持っていることになります。
天照皇大神宮教は何がやばいのか
天照皇大神宮教は、献金も強要されず、教団活動を生業とすることを禁止しています。
そこまでやばいようには思えませんが、実際のところどうなのでしょうか?
世間から批判されている理由を、以下の2つにまとめました。
注意ポイント
- 葬式の時に「おめでとう」と言う
- 仏教や他の宗教を真似している
順番に見ていきましょう。
葬式の時に遺族に対し「おめでとう」と言う!?
確かに、葬式の時に「おめでとう」と言われたら違和感がありますよね。
教祖のサヨによると、人が亡くなるのは、魂が肉体から離れてあの世に生まれることなのだそう。
そういった理由で、「おめでとう」と言ってよいと言葉を残しているそうです。
ただ、最近の教団の葬式では「おめでとう」というケースはあまりなく、「ご苦労様です」という場合の方が多いそうです。
さすがに違和感や他宗教からの批判が強かったからでしょうか。
仏教や他の宗教を真似している!?
記事の前半でも書いたように、天照皇大神宮教には他の宗教に似た言葉や儀式がありましたよね。
注意ポイント
- 「生書」と「聖書」
- 「六魂清浄」と「六根清浄」
- 「名妙法連結経」と「南無妙法蓮華経」
- 「無我の舞」と「踊念仏」
確かに似ているようにも見えますね。
これが、世間から真似していると批判されてしまったのでしょう。
ただ、天照皇大神宮教側は、仏教やその他の宗教とは関係ないと言っているようです。
天照皇大神宮教に入信している芸能人
現在入信している芸能人の噂は聞きませんが、過去には大物が関与していました。
それが、岸信介元首相(安倍晋三首相の祖父)です。
岸元首相の故郷は、山口県熊毛郡田布施町です。
サヨが嫁いだのも山口県熊毛郡田布施町で、そこで教団を起こしました。
岸氏が戦犯として巣鴨プリズンに入獄する前、サヨは岸氏に「あなたは10年以内に必ず首相になる」と予言して的中させたという逸話が残っています。
それ以来、岸氏はサヨの力を高く評価していたそうです。
誰にでも精神的に弱っている時には、宗教にすがりたくなることがあるのかもしれませんね。
また、安倍首相は幼少時からこの話を岸氏によく聞かされており、今も北村家を大事にしているそうです。
実際に、2019年の参院選にサヨの孫の北村経夫氏が出馬し、安倍首相の支援を受けて当選しました。
こういった事実から、やはり岸元首相は天照皇大神宮教と関わりがあったと言えるでしょう。
そして、政界との繋がりもまだあるのではないかと勘繰ってしまいますね。
まとめ
天照皇大神宮教は、強制的な献金や加入を求めてこないためか、あまり良くない噂は聞きませんよね。
しかし、信者数が約48万人というのはかなりの規模ですし、大きな道場もあります。
政界との繋がりもあるということは、かなりの力を持っているようにも思えます。
外から見るのと実際に入信するのでは、見える景色は違ってくるはずです。
信仰の自由があるので入信は自由ですが、きちんと判断してからにしましょうね。