国家神道。
名前だけ聴くと、現在の神道の親戚や、その他一派のように聴こえますよね。
ですが、その実態は全く異なるものです。
明治の頃から第二次世界大戦まで存在した、国家神道についてまとめました。
- 国家神道にとっての神様とは?
- 国家神道は宗教なのか?
- 普通の神道とはどう違うのか?
詳しく見ていきましょう。
国家神道と神道の違い
簡単にまとめると以下の通りです。
ポイント
- 国家神道:政治や思想利用の為に国によって作られた信仰
- 神道:日本が古来から持つ宗教観による信仰
それぞれ詳しく特徴を見ていきましょう。
国家神道とは
国家神道の主な特徴を挙げてみます。
- 明治政府によって作られた
- 公式的には「宗教」ではない
- 天皇一族が崇拝の対象
それでは詳しく見ていきましょう。
国家神道は明治政府によって作られた
国家神道は名前の通り、国によって作られました。
なぜ国家神道を作る必要があったのか。
それには歴史的な背景があります。
国家神道の誕生は、明治維新の頃。
長らく続いた江戸幕府が歴史に幕を下ろしました。
国を治めるのは将軍ではなく天皇がすべきだ、という思想が支持されたのです。
日本は欧米列強に大幅に遅れをとっていたので、国を強くする力が必要でした。
- どうやったら国民をまとめあげることができるのか。
- どうすれば国民の思想を統合することができるのか。
考えた挙句、国にとって都合のよい思想を根付かせるため、国家神道を積極的に広めていったのです。
国家神道は「宗教」ではない
明治政府が作った大日本国憲法には、宗教の自由を保障していました。
しかし、国家神道を非宗教と位置づけます。
国家神道を宗教とせず、国民の精神統一をはかるために、国民の精神であり、道徳であると正当化したのです。
宗教には自由がありますが、国家神道は自由どころか、大日本帝国の理念そのものなのでした。
崇拝の対象は天皇一族
国家神道は、神道と皇室が深く関わりを持ちます。
天皇一族を神として崇め、有事の時にはすべてを投げ打って奉仕せよ、という理念の元、国家第一、天皇万歳といった精神が人々を支配していきます。
そして数々の戦争へと駆り立てられていったのです。
神道とは
通常の神道についての特徴がこちらになります。
- 神様は複数存在する
- 暮らしの中から生まれた信仰形態
- 宗教の定義に当てはまらないとも考えられる
国家神道とは似ても似つかないものと言えるでしょう。
神様は複数存在する
国家神道は、天皇一族を神とする考えに対し(通常の)神道は、神様がたくさんいます。
「八百万の神」というように、日本では自然界の至る所に神様が宿っている、という考えを持っていました。
以前「トイレの神様」という歌がヒットしましたね。
トイレは本来、厠(かわや)と呼ばれ昔からトイレにも神様がいると信じられていたのです。
他にも山、川、海、田、森羅万象すべてに神が宿るといわれていました。
暮らしの中から生まれた信仰
生活や伝統の中に神様がいて、それぞれの土地の神社が祀る神様に手を合わせるのが「神道」です。
また実在した人物を死後、神様として祀るという風習もあります。
有名なのが学問の神様、菅原道真などです。
宗教の定義に当てはまらない
神道を宗教と捉える考え方もありますが、神道には作り出した教祖もなく、経典もなく、組織教団もありません。
普及活動もありませんから、基本的に神道は宗教の定義からは外れているといった認識です。
まとめ
国家神道は第二次世界大戦終了と共にGHQによって解体されました。
個人ではなく、国を尊重しなければならなかった時代。
神道を都合よく利用したものが国家神道だったのです。
現在、憲法改正案などの問題でまた国家神道が復活するのではといった懸念の声もあります。
人々の願いは平和そのものです。
これからも神様という存在が心の拠り所となる日々が続きますように。