ふだんの生活に袱紗(ふくさ)はあまり馴染みがないですよね。
就職祝いや引き出物などでいただいて、初めてふくさの存在を知った方もいらっしゃるでしょう。
その時に「どう使えばいいのかわからない…」なんてことになるのも無理はありません。
大人のマナーを示せるアイテムですから、ぜひ正しい使い方を学びましょう。
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ふくさの意味と役割
ふくさには、以下の役割があります。
- 祝儀袋などの金封をつつんで、綺麗なまま渡す
- 金封を渡す相手に、礼儀を尽くして敬意を表す
「贈り物をむき出しで渡すのは失礼である」という考え方から生みだされたものだからですね。
ふくさを使うメリット
ふくさを使うと、物理的なメリットも。
- バッグに入れても中の金封が変に折れたり、汚れたりしない
- のしや水引が崩れない
特に水引は、崩れてしまうと元に戻すのが厄介ですからね。
くっちゃくちゃの汚い紙幣や祝儀袋では渡すのに気が引けてしまいます。
ふくさの種類
結婚式や葬儀に使うふくさには、以下の3種類があることを覚えておきましょう。
- 金封ふくさ/金封の目安:1~3万円
(ポケットふくさ、はさみふくさとも)
- ふくさ/金封の目安:3万円~
- 台付きふくさ/金封の目安:3万円~
このうち、もっとも取り扱いの簡単なものが「金封ふくさ」。
ポケット式になっていて携帯に便利、そして包み方に困りません。
包み方については、後で詳しく解説していきます。
ふくさの色について
ふくさは色によっても用途が分かれます。
- 慶事用の色:赤、ピンク、えんじなどの暖色系
- 弔事用の色:青、緑などの寒色系
- 両方使える色:紫
紫のふくさは重宝しますね。
ふくさの包み方と色の慶弔時別使い方まとめ
慶弔のふくさは包み方と色がはっきり分かれます。
色 | 金封向き | 包み方 | |
慶事 | 赤/ピンク/えんじ/紫など | 右開き | 左寄せ |
弔事 | 青/緑/紫など | 左開き | 右寄せ |
間違えてしまうと、マナー違反となりますし、詳しい方が見れば一目瞭然となってしまいます。
しっかり覚えておきましょう。
画像つきで詳しく解説していきます。
結婚式向けのふくさの折り方
結ばれる二人の新しい門出を祝福する祝儀袋。
せっかくの慶事ですから、水を差さないよう、ふくさで正しく包んで運びましょう。
マナーに厳しい目上の人が、ギラっと目を光らせているかもしれません。
金封ふくさの入れ方と向き
写真のように祝儀袋を入れて、右手で開けて取り出せるようにします。
渡すときは、記入した名前を受付の方が読めるようにして、ふくさを下に添えて祝儀袋を渡しましょう。
ふくさ・台付きふくさの折り方と向き
まずは大きなテーブルなどにふくさを広げ、祝儀袋を真ん中からやや左に設置します。
爪つきふくさの場合は、爪が右側に向くようにしましょう。
次にふくさの左側を中に折り込みます。
さらに上側を折ります。
そして下側を折ります。
最後に右側をたたみ、余った部分は裏にまわします。
爪付きのふくさは止め紐に爪をかけておきましょう。
通夜・葬儀向けのふくさの折り方
当然ながら結婚式とは打って変わって、厳粛に営まれる弔事。
故人への敬意を払うのはもちろん、香典袋の金封をしっかりふくさで包んで、遺族の方々に気づかいをしましょう。
金封ふくさの入れ方・向き
写真のように香典袋を入れて、左手で開けて取り出せるように入れます。
ふくさ・台付きふくさの折り方・向き
最初にふくさを広げて、香典袋を真ん中からやや右に伏せます。
爪つきふくさの場合は、向かって左に爪がくるように広げましょう。
ふくさの右側を折ります。
次に下側、上側の順で折ります。
最後にふくさの左で包んで、余った部分は裏に送りましょう。
爪があれば止めてください。
ふくさを使った金封の渡し方とマナー
実際に受付の方に渡す時の、一連のマナーもチェックしておきましょう。
せっかく正しい包み方をしても、礼儀にかなった渡し方をしないと、結局台無しですからね。
結婚式場での渡し方・マナー
開演の30分前には会場に入ることを心がけます。
受付についたら、まずはお祝いの言葉を伝えましょう。
受付役に選ばれた方は、結婚する両家を代表した身内のようなもの。
もし受付が親しい友人であったとしても、軽々しい口調は慎み、しっかりお祝いの言葉を伝えます。
あいさつ例
- 「このたびはまことにおめでとうございます。新郎と同じ職場の●●と申します」
- 「本日はおめでとうございます。新婦の親戚の〇〇です」
このように自分の立場も添えておくと、受付の方も名簿や座席のチェックが楽になるので喜ばれます。
お祝いの言葉が済んだら、ふくさに包んだ祝儀袋を渡します。
渡す時の手順
- 左手にふくさをのせ、右手で開いて祝儀袋を出す
- 名前をしっかり確認できるように、祝儀袋の正面を受付の方に向ける
- ふくさを下に敷いて、両手で祝儀袋を渡す
渡す時に「心ばかりですが…」や「どうぞお納めください」などの言葉を添えると、より良いでしょう。
次に芳名帳に記名を求められますので、あとの方の邪魔にならないように左か右にずれて済ませます。
案内に従って更衣室や待合室などで待機しましょう。
このとき、爪つきふくさなどはテーブルなどに広げて、綺麗にたたんでおくことをお勧めします。
葬式・通夜での渡し方・マナー
本来、通夜は親族と故人の近しい人のみで開かれ、それ以外の方が告別式に参列する習わしでした。
しかし近年は、参列者の時間的な都合に合わせて、どちらか一方に出席してもよい風潮になっています。
もし通夜と葬儀の両方に参列する場合、香典は通夜の時に渡しましょう。
葬儀場に到着したら受付に進み、まずは一礼してお悔やみを述べます。
この時の言葉は「このたびはご愁傷さまでした」などのように簡潔に伝えましょう。
次に香典袋を渡します。
渡す時の手順
- 右手にふくさをのせて、左手で開いて香典袋を取り出す
- 名前をしっかり確認できるように、香典袋の正面を受付の方に向ける
- ふくさを下に敷いて、両手で香典袋を渡す
そして会葬者の名簿に自分の氏名・住所を記入したあと、受付の方に深く一礼して会場に向かいましょう。
故人を偲ぶ場ですので、会場で知り合いと会っても会話は控えるべきです。
まとめ
ふくさの使い方をくわしく見てきました。
お祝い事と弔い事で包み方が微妙に違いましたね。
とくに結婚式で通夜葬儀用の色のふくさや、間違った包み方をしていると、その場で厳しいツッコミをもらう可能性があります。
格式が高い場ならなおさらで、それはもう、怖い目上の方々から…。
新郎新婦に恥をかかせないよう、ここだけでもしっかり押さえておきましょう。
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