仏教知識

戒名はわけが分からないし高いからいらない!つける理由とその意味とは

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戒名 つける 理由 高い いらない

一般庶民にとっては不透明な「戒名」の世界…。

戒名といえば、お坊さんに高額なお布施を支払うイメージがありますね。

  • 戒名とは一体何なのか?
  • どうしてもつけなければいけないのか?

基本的なことはあまり知られていません。

いまは「お寺離れ」の時代だと呼ばれて久しいですね。

菩提寺の住職から要求される理由がわかりづらく根拠も不明な戒名料が、大きな原因のひとつになっています。

今回は戒名のルーツと、つける理由、そして不要とした場合に払うべき注意点などをまとめました。

 

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戒名はどうしてつける?

「絶対に戒名をつけるべき!」という理由は、実はありません。

そもそも仏教の発祥であるインドに戒名をつける風習はなく、死後の葬送儀礼で日本に伝わっているのは中陰(ちゅういん=死後49日間で生まれ変わりをするという考え)ぐらいです。

まずは戒名のルーツを少しみてみましょう。

戒名のルーツは中国の葬送儀礼

亡くなった人に戒名を授ける風習は、古代の中国が発祥であり、その名残として今も残る言葉が「諱(いみな)」と「諡(おくりな)」です。

さらけ出すと魔物に魂を奪われるという考え方があるので、中国では自分の本名は公然と使わない風習で、これが「忌むべき名前=諱(いみな)」。

皇帝の諱は公文書ですら絶対に入れてはいけないときもあり、亡くなった後さえも本名を使わないように、「送り名=諡(おくりな)」をつけて呼称しました。

 

お位牌も中国が発祥です。

お位牌は神主(しんしゅ)あるいは木主(ぼくしゅ)という木の板が大元で、ここに故人の性格や職歴などを記載して忘れないようにして、孝養の精神をのちの世代まで語り継ぎます。

仏教が伝わり中国化するなかで、諱・諡の考え方が取り入れられ、あの世に往生するなら新しい名前をつけて木主に刻むべきという考え方が生まれました。

仏の弟子として戒律を授け、新しい名前を与えられる…すなわち戒名の誕生です。

戒名の風習は宋の時代の禅宗が始めたことがわかっています。

日本に渡った戒名

戒名に使われるべき文字は、どんな身分の人間にどのようなものを使うかなど、中国で体系的にまとめられました。

そして宋代以後の中国に渡った曹洞宗・臨済宗の名僧たちによって、中国式の葬儀作法とともに日本に戒名が伝わります。

 

ただし戦国時代までは、一部の武士や大名など、戒名をつけられたのは上流階級の人間のみ。

庶民が戒名を授かるようになったのは、江戸時代、お寺と人々を結びつけ支配しやすくする寺檀制度が成立して以降のことです。

キリシタンの武装蜂起である天草の乱(1637年~1638年)以降、外国宗教を徹底的に排除した江戸幕府。

菩提寺と信仰を統制された庶民が、お墓や位牌に戒名を刻むのは「私は仏教徒です」と意思表示する役割もありました。

戒名は仏教徒の証

日本仏教の葬儀は、菩提寺の住職を師匠として・故人をその弟子として、戒律を授けて出家させ、仏の世界(=極楽浄土)に導くという形式で進められます。

ここで必要になるのが戒名。

俗世の名を捨てることは煩悩や執着を捨てることであり、戒律を授かって新しい名前を得て、悟りを開くために修行に専念するという表明が戒名の意義です。

そして逆を言えば、仏教式の葬儀を選ばなければ、戒名は必要がなくなります。

 

しかし…信仰心は別にして、実際に菩提寺さんにお墓があるご家庭の方は、そうも言ってられないのが現実ですね。

住職さんによっては「戒名をつけないならウチのお墓にお骨を入れないでくれ!」と言われることがあるので注意が必要です。

なぜならば、この戒名をつけるときに菩提寺に支払うお布施が、大多数の寺院にとって経営・維持費に直結するためです。

戒名のランクとおおまかな価格

戒名はランク分けがされていて、宗派・故人の人となりや信仰心・菩提寺への貢献度などでまったく違います。

「冠婚葬祭 おつきあいとお金のマナー」(早井千代子著、西東社、2006年)によれば、葬儀で僧侶に支払うお礼として、

  • 信士・信女…20〜40万円
  • 居士・大姉…40〜60万円
  • 院居士・院大姉…100〜135万円

(「冠婚葬祭 おつきあいとお金のマナー」151ページより抜粋)

戒名のランクごとに目安となる相場が記載されています。

宗派や地域によりますが、信士と院居士では価格に約5倍の開きが…。

「ただの名前なのに、なんでこんなに値段が違うんだ!」

…なんて声が聞こえてきそうです。

 

一方、菩提寺は戒名料などのお布施によって

  • 寺院の運営
  • 建造物の修復
  • 墓地の保守や管理
  • 住職や職員などの給料

などをまかなっています。

一般家庭の家計とは金額の桁が違うため、運営・維持費は寺院の規模によっては卒倒しそうな費用がかかります。

 

しかし、それを檀家に転嫁するのもお門違いですよね。

一昔前は寺檀制度と地縁がとても強力だったので、たいして信心がなくても、有無を言わさず戒名をつけられていました。

しかしいまや…とくに菩提寺のない家庭は、仏教式の葬儀から離れ、「家族葬」や「直葬」などのように費用をおさえて、故人様の見送り方を自由に選べる時代になっています。

無宗教葬も珍しくありません。

現代において戒名を求める方は、どんな理由で授かるのでしょうか?

 

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いま戒名を授かる理由とは

戒名は数百年の歴史をもつ、日本の伝統的な習俗と言えます…しかし、絶対につける必要がないというのも事実。

戒名をいただく際に考えるべき最大のポイントは、やはり菩提寺の有無と故人様の信仰心が焦点となります。

いまどきの人々が戒名をいただくケースをあげてみましょう。

菩提寺があり、仏教を信仰している家族だから

心から仏教を敬い、親子みんながお墓参りを欠かさない…。

そんな家族なら戒名をいただくのは自然なことかもしれません。

「阿弥陀如来の手に導かれ、極楽往生が約束される…。」

信心篤い故人様にとって戒名とは、安心してあの世に旅立つための、転ばぬ先の杖となります。

菩提寺があるが、親戚や近所への配慮から仕方なく

上とすこし似たような理由ですね。

自分たちはそうでもないのだけれど、親戚筋や近所の方々が篤信の仏教徒…といった場合です。

すなわち「戒名をもらうのは親戚に顔向けができるから」

よくある葬儀トラブルのなかで「信心のある親戚が式に文句をつける」理由のひとつが戒名。

「戒名をもらってないと極楽にいけない」とか、

「◯◯(故人様の名前)に戒名をつけないなんて、なんて親不孝だ」

などと親戚から罵倒され否応無く…といった事例があります。

菩提寺はあるが、戒名がないと住職に嫌がられるから

「戒名はいらない!?じゃあウチのお墓には納骨させないよ!」

高額な戒名料や信仰に価値を感じない遺族が、戒名を拒否すると起きるトラブル…それは菩提寺の住職から嫌がらせのような対応を取られることです。

もちろんお坊さんの人柄次第なところもありますが…菩提寺と檀家が疎遠な関係であったり、遠く離れている場合に多いです。

菩提寺と密に関わっていないと、

  • 七回忌・十三回忌などの回忌法要をせず、お布施も払っていない
  • 本堂改修費や墓地管理費などの諸費を払っていない
    (知らせを受け取ってもいない・あるいは督促を無視している)

などなど、すでにトラブルのタネが生まれていて、住職にとって「良くない檀家さんだ」と思われている可能性が大です。

お葬式はただでさえ気ぜわしいもの。

そんな時に、ややこしい問題を増やしたくない方が、住職の要求を飲む=戒名を授かるというケースがあります。

菩提寺がなくても、故人の遺志で戒名を授かる

菩提寺のない家庭がめずらしくない現在でも、おだやかに神仏を信仰する方々はもちろんいらっしゃいます。

親やご先祖さまたちのお葬式と同じように自分も見送られたい、仏教徒として引導を渡されたい…と戒名をいただくのです。

このような方は、あらかじめ生前に戒名を授かるなど、いわゆる「終活」を済ませていることも。

故人の遺志ならば…と、ご遺族も話し合いのうえで縁のあるお寺さんを探し、あるいは葬祭場から紹介された僧侶から戒名をいただきます。

 

戒名料が高い!お手頃に抑えるには

戒名を授けてもらう場合、前述のとおり、ランクによっては多額のお布施が必要になります。

「戒名料をできるだけ抑えたい!」

そんな方にオススメするのが以下の方法です。

菩提寺と相談する

菩提寺がある場合は、まずかならず住職に相談しましょう。

住職が心ある僧侶であれば、たとえば戒名のランクを下げるなどで対応していただけます。

ほかにも、お寺さんによってはそもそも戒名料を頂かない風習のところや、俗名でも葬儀を受け付けてくれるところもありますので、まずは相談を。

戒名を自分でつける

仏弟子としての証である戒名は、本来、生きているうちに授かるのが理想です。

そして、自分で文字を選んでつけることもできるって、ご存知でしたか?

使ってはいけない文字もありますので、以下の書籍を参考に、人生を振り返りながら「終活」の一環として作ってみましょう。

戒名はこの順番で分かれています。

  1. 院号…生前の仕事・業績・性格などを表す二字。
  2. 道号…年齢をあらわす一字プラス自然や天気を表す一字。
  3. 戒名…狭い意味での戒名(法名)。抽象的な一字プラス俗名から一字。
  4. 位号…男性なら「信士」か「居士」、女性なら「信女」か「大姉」。

もちろん、菩提寺のある方は、かならず住職に相談のうえ許可をもらってくださいね。

おそらくNO!と言われると思いますが・・・

菩提寺がない場合は

菩提寺がなくても、戒名をつけてくれるサービスがあります。

代表的な例が「お坊さん便」です。

戒名料も宗派不問の場合は最安2万円から。

ほかの宗派の場合も明瞭な料金体系ですので、戒名料を抑えたいと思う方は公式サイトを覗いてみましょう。

 

戒名なんて無意味!拒否はできる?

ご遺族も故人様もとくに仏教に興味がないときや、葬儀にお金をかけられないといった場合、戒名なしの葬儀を選ぶこともできます。

菩提寺がないときは、そもそも仏教式葬儀にこだわる必要もありませんから、戒名も不要です。

ただし、菩提寺があるときは、戒名が要らない旨をかならず住職に伝えましょう。

前述のとおり、住職次第では親身に相談に応じてくれますが…

菩提寺があるときの注意点を以下にまとめました。

菩提寺があっても戒名をつけたくない時の注意点

繰り返しになりますが、菩提寺ありで戒名不要の葬儀を希望したときに、住職が難色を示すことがあります。

なるべくならトラブルは避けるべきですから、まずはなによりも冷静に住職と話し合いをしましょう。

場合によっては住職と話がこじれて離檀(りだん=檀家でなくなること、他の寺院や霊園へ墓地を移すことになる)しなければならなくなったり、訴訟になったりすることも…。

「無用なお金を使いたくない」といって戒名を拒否し、さらに以下のトラブルに見舞われると、逆に高いお布施を支払うことになりますので、注意すべき問題です。

離檀料の問題

住職によっては「戒名なしなら、うちのお墓には入れない」と対応されます。

話が決裂してお墓の改葬・引越しをする場合、もっとも厄介なトラブルが、住職から高額な「離檀料(りだんりょう)」を請求されることです。

近年、継承する家族がいないことや、自分の子供達に経済的負担をかけたくないという理由で、「墓じまい」をする人が増えてきており、そこでも散見される事例です。

なかには数百万円を請求されるケースも…。

 

しかし離檀料に法律的な根拠はありませんし、そもそも憲法第二十条の「信教の自由」に反しています。

国民生活センターによると、

墓地の管理である住職が「埋葬証明書」を出してくれなければ改葬許可が下りませんので、境内墓地にお墓がある場合は注意が必要です。お墓を引っ越し、檀家をやめる際には、これまで世話になったお礼を包むのは当然ですが、こうした法外な「離檀料」を請求された場合には、お寺が所属する宗派の本山に相談しましょう。ちなみに「離檀料」という概念自体、ありません。

「消費者問題をよむ・しる・かんがえる 国民生活2 (2015年31号) 」より引用

参考URL(pdf);http://www.kokusen.go.jp/pdf_dl/wko/wko-201502.pdf

このように離檀料を支払う義務はないのです。

ただし…改葬・離檀手続きには

  • 菩提寺の過去帳(檀信徒各家のご先祖の戒名や命日を記録しているもの)
  • 改葬許可申請書への証明印
  • 埋葬証明証の発行

などが必要になり、引越し元の住職との手続きが避けられないため、謝礼という意味でのお布施(相場は13〜20万円ほど)は包むことをお勧めします。

ほかに墓地の撤去にもお金がかかるので、葬儀と離檀のセットは現実的な選択ではありません。

親しい人が亡くなった直後というものは、ご遺族には色々な対応に追われて、とてつもないエネルギーが必要になります。

なるべくならトラブルは避けたいものです。

 

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まとめ

戒名について、根拠やつける理由などを見て参りました。

誰でも「死」は恐ろしいもの。

「わたしの名前をよぶ(=念仏をする)人間を必ず浄土に導く」という阿弥陀如来の誓願(せいがん)を一心に信じる方にとって、仏弟子の証である戒名や法名は、死の恐怖をこえる安心(あんじん)の手助けとなるでしょう。

一方で、戒名料を抑えたり、あるいは戒名を拒否することも選択できる時代になりました。

何を信じるかは本人の自由。

故人様も、そしてご遺族も、納得のいくかたちでお見送りしたいものですね。

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