お墓参りや仏壇に欠かせないお線香。
いつも何の気なしに使っていますが・・・
お線香って一体何から出来ているのか、ご存知ですか?
今回は、
お線香って何でできてるの?その原料と安全性
をお送りします。
お線香の原料
お線香は基材と香料を混ぜ、色をつけて製造されます。
基材とは、ノリの役割を果たす原料です。
これには香りがあまりありません。
お線香の香りは香料によって変わります。
お線香の基材
基材として使われることが多い原料はこちら。
- 椨(たぶ)の粉末
- 炭の粉末
- 杉の葉の粉末
椨は「イヌグス」という別名を持つ常緑高木です。
この樹皮を粉にしたものが基材に使われます。
- 水分を含むと粘り気が出る
- 香りが少ない
この二つの特徴から、お線香の基材として使用されることが多いです。
家庭で使用されているお線香の大部分には、この椨粉が基材として使われます。
お線香の香料
香料として使われる原料は、天然のものがほとんどです。
漢方薬として使われることが多い原料も使用されています。
- 香木
→白檀、沈香、伽羅など - 漢方系香料
→桂皮、丁子、大茴香、安息香、龍脳、甘松など - 植物系香料
→バラ、スミレ、ラベンダー、イランイランなど - 動物系香料
→麝香(じゃこう)、貝香など
お線香の種類
お線香は主に2種類に分けられます。
- 匂い線香
- 杉線香
基本的な原料や作り方は一緒です。
少しだけ特徴が異なります。
目的に合わせたお線香を選ぶと良いでしょう。
匂い線香の特徴
匂い線香は煙が少なく、香りを楽しむのに適しています。
よく使用される基材は椨粉です。
より煙の少ない基材として、炭の粉末が使われることが増えてきました。
仏壇用など、家庭で使用されることが多いのはこちらの匂い線香です。
杉線香の特徴
杉線香は杉の葉を基材としています。
安価で製造することができるのも特徴の一つ。
何より、煙が多く出るのが最大の特徴です。
このため、杉線香はお墓参り用のお線香に使用されます。
お線香の煙の安全性
お線香の煙の安全性について、東京都健康安全研究センターが論文を発表しています。
お線香が燃焼される時に出る化学物質を調べていました。
- 煙が少ない仏壇用線香(5種類)
- 煙が多いお墓参り用線香(3種類)
- コーン型と渦巻型のお香(2種類ずつ)
計12種類の銘柄で実験しています。
この結果、48の物質が検出されました。
そのほとんどは安全なものだったのですが、そのうちのアセトアルデヒドが厚生労働省による室内空気中濃度の指針値を超えています。
こんなことを言われてしまうとちょっと不安になってしまいますよね。
これは、密室空間で線香を使ったことを想定した実験です。
換気をした時の数値ではありません。
また、検出された物質の量についてはこのように書かれていました。
48物質の合計放出量は、煙の量が少ない線香で少なかった。したがって、線香の煙による空気中化学物質の濃度増加を抑制する方法の一つとして、煙の少ない線香を選ぶことが効果的であると考えられた。
引用:線香等から放出される揮発性有機化合物類、アルデヒド類及び有機酸の調査
つまり、
- 室内で使用するときは、煙の少ない線香を選ぶ
- 適度に換気をする
これらの対策をきちんと取れば、安全にお線香を使用することができます。
お線香の選び方
お線香を選ぶ時の大きなポイントは煙の量です。
目的に合わせて選びましょう。
お墓参りの場合は、屋外なので煙が多いタイプのお線香でも大丈夫です。
仏壇へのお参りには煙の少ないお線香を使用します。
また、お線香は様々な香料を混ぜて作られています。
煙の他には、お線香の香りの好みで選んでみましょう。
まとめ
お線香のほとんどは天然由来の原料で作られています。
原料そのものは漢方で使用されることも多く、安全なものです。
ですが、発生する煙には化学物質が含まれていました。
仏壇で使用する時は煙の少ない匂い線香を選び、適度に換気を行いましょう。