「阿修羅」という神様を知っていますか。
近年ではゲームのキャラクターとして用いられることもあるので、聞いたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
6本の腕やにらみつけるような顔など、とてもインパクトのある外見の阿修羅。
怖い顔をしているイメージが強い阿修羅ですが、その背景には悲しい出来事がありました。
意味や由来を交えて見ていきましょう。
ということで、
戦いの神 阿修羅とは|意味や由来を解説
をお送りします。
阿修羅の意味
まず、阿修羅がどんな神様かみていきましょう。
仏像のイメージが強い阿修羅ですが、元々はインドの神様なのです。
阿修羅という言葉の語源は、サンスクリット語のアスラだと言われています。
アスラとは、インド神話における鬼神のこと。
それが伝わり、仏教に取り入れられて漢字が当てられ、私たちが知る阿修羅となりました。
インドでは悪神とされていた阿修羅ですが、仏教においては若干役割が異なります。
阿修羅は仏教では仏法を守護する神、つまり仏法の守護者として八部衆の1人に入れられました。
八部衆とは仏法を守護する8人の異国の神のことで、
- 天衆
- 龍衆
- 夜叉(やしゃ)衆
- 乾闥婆(けんだつば)衆
- 阿修羅(あしゅら)衆
- 迦楼羅(かるら)衆
- 緊那羅(きんなら)衆
- 摩睺羅伽(まごらか)衆
の8人のこと。
日本でもこの八部衆は仏像などで表されていて、国宝の「乾漆八部衆立像(かんしつはちぶしゅうりゅうぞう)」はこの8人を乾漆像で表現したものとして知られています。
引用:法相衆大本山興福寺
六道と阿修羅の関係
仏教で阿修羅が登場するのは、八部衆だけではありません。
仏教において6つの苦しみの世界を表すと言われる「六道」にも阿修羅は登場します。
六道とは、
- 地獄道
- 餓鬼道
- 畜生道
- 修羅道
- 人間道
- 天上道
の6つの世界を表します。
この中で阿修羅が出てくるのは4番目に苦しい世界とされる修羅道。
修羅道は阿修羅が存在する世界のこと。
戦いの神とされる阿修羅が存在することで、いつも争いや怒りが絶えない世界とされています。
阿修羅が戦いの神となった由来
争いを好む戦いの神とされている阿修羅ですが、実は元々は穏やかな神であり戦いの神ではありませんでした。
では、どうして阿修羅は争い好きな悪神とされるようになってしまったのでしょうか。
その背景には、インドラ(帝釈天)という神様との戦いがありました。
ある時、阿修羅の娘・舎脂(シャシー)を一目見て気に入ったインドラは、嫌がる娘を無理やり連れ帰ってしまいます。
娘を無断で連れていかれた事に怒った阿修羅は、インドラに戦いを挑みます。
しかし、インドラは力の神。
勝てるはずもありませんが、阿修羅は負けても負けても戦い続けました。
そのうち娘がインドラに心を許しても、それでも尚、インドラに何度も戦いを挑み続けた阿修羅。
阿修羅は復讐に燃える鬼となってしまい、結果として阿修羅は天界から追放されてしまうのです。
ちなみに、「修羅場」とは、阿修羅とインドラの壮絶な戦いの場面から生まれた言葉だとされています。
その後追放された阿修羅は、六道の中で人間以下とされる修羅道の鬼神とされてしまいます。
しかし、仏教に帰依(きえ)したことで仏法を守る神とされることになり、八部衆の1人に加えられることとなったのです。
まとめ
にらみつけるような表情や、悪神と言われることから怖い神というイメージが強い阿修羅。
そのように言われるようになってしまった背景には、娘を思うあまり我を忘れてしまった悲しい過去がありました。
国宝にも指定されている阿修羅像。
このストーリーを思い浮かべながら鑑賞してみると、また違った顔が見えてくるかもしれませんね。