僧侶ってお酒を飲んだり、肉を食べたりしていいの?
お坊さんって結婚しちゃいけないはずなのに、なんで跡取りがいるの?
僧侶と聞くと、今までの生活や欲を捨てて新しく悟りを開く、世捨て人のイメージが先行します。
- 肉を食べてはいけない
- お酒を飲んではいけない
- 結婚してはいけない
など、お坊さん事情のホントの所ってどうなっているのでしょうか。
他の国とは違うのでしょうか。
本日はあまり知られていない日本のお坊さん事情と仏教についてお話しします。
ということで、
僧侶のルール|お坊さんの肉食、飲酒、結婚は良いの?
をお送りします。
仏教の戒律
仏教には戒律(かいりつ)と呼ばれる僧侶が守らなければいけない規律があります。
戒律は一熟語で表現されますが、実際は「戒」と「律」では意味が異なります。
- 「戒」は自分への誓い、いましめ
- 「律」は僧侶として生活するためのルール、規律
戒律で有名なのが五戒(ごかい)と呼ばれる5つのいましめです。
- 不殺生戒(ふせっしょうかい) 生き物を殺してはいけない。
- 不偸盗戒(ふちゅうとうかい) 人のものを盗んではいけない。
- 不邪淫戒(ふじゃいんかい) 自分の妻(夫)以外と交わってはいけない。
- 不妄語戒(ふもうごかい) うそをついてはいけない。
- 不飲酒戒(ふおんじゅかい) お酒を飲んではいけない。
読むのがむずかしいですが、僧侶としてというよりも人としてしてはいけないことも含めて書かれていますね。
※他にも八戒、十戒、二百二十七戒などがあります。
それではお坊さんは、この五戒にあるように飲酒をしたり、生き物を殺した肉を食べたりしてはいけないのでしょうか。
日本の僧侶は結婚、肉食、飲酒は可能
結論から言うと、日本のお坊さんは結婚することも、肉を食べることも、お酒を飲むことも可能です。
江戸時代までは、浄土真宗の僧侶のみ肉食、妻帯が認められていました。
ところが、1872年(明治5年)明治政府から太政官布告(だいじょうかんふこく)という法令が発令されました。
この太政官布告の中に僧侶について以下の記述が記されました。
『自今僧侶肉食妻帯蓄髪等可為勝手事』
(僧侶が肉を食たべたり、妻を持ったり、髪を伸ばしたりは勝手にしてよいよ)
という内容です。
この太政官布告以降、現在まで特に僧侶の結婚、肉食、飲酒などに制限はなくなっています。
明治政府はなぜこのような内容を発令したのでしょうか。
理由は、政府が仏教を弱体化するためにあえて僧侶の条件を緩和したのではないかと言われています。
(諸説あります)
明治時代以降、国としては緩和されていますが、お寺によっては禁止にしているところもあるようです。
海外と日本の仏教の違い
では海外のお坊さんのルール(戒律)はどうなっているのでしょうか。
例えば、タイのお坊さんの場合、先ほどの戒律の二百二十七戒を遵守する必要があります。
つまり肉を食べたり、お酒を飲んだりすることはできません。
なぜ同じお坊さんなのに違いが生まれるのでしょうか。
実は仏教には種類があります。
タイの仏教は上座部仏教(小乗仏教)
タイの仏教は、上座部仏教(じょうざぶぶっきょう)です。
※旧名称:小乗仏教(しょうじょうぶっきょう)
小乗は小さな乗り物のことで『修業を重ねた厳しい僧侶のみが悟りを開くことができる』という意味で非常に厳しい仏教です。
タイ以外だとスリランカやカンボジアなどで取り入れています。
小乗仏教という名称は差別語のため、現在は上座部仏教と呼ばれています。
>>>大乗仏教と小乗仏教の違い『上座部仏教』が正式名?それぞれの【思想の特徴】とは
日本の仏教は大乗仏教
日本の仏教は大乗仏教(だいじょうぶっきょう)です。
大乗は大きな乗り物のことで『誰でも悟りを開くことができる』という意味です。
簡単に言えば、間口が広いということですね。
日本に伝えられた仏教は、すべて大乗仏教の教えを基本としています。
日本以外だと中国やインドなども大乗仏教を取り入れています。
まとめ
厳しそうなイメージのある仏教ですが、日本の僧侶の場合はタイなどの上座部仏教の国に比べるとそこまで厳しくはありません。
仮に居酒屋でお坊さんたちが宴会をしていたとしても、問題はないのです。
ただあくまで僧侶になるための間口が広いことと規律として禁止されていないだけで、僧侶になるためには日本であっても厳しい修業は必要です。
生半可な気持ちで僧侶になれるわけではないということは覚悟してくださいね。